2022年4月12日 出典:Hasht e Subh Daily  (アフガニスタンの日刊サイト)

すべての政党とアフガン人を代表し国民の意志に基づく包摂的な政府を形成することは、ターリバーンが政治舞台で生き残るために残された唯一の選択肢だ。ターリバーンが彼らの時代遅れの部族ベースの権力支配にしがみつく限り、武力抵抗は続くだろう。

写真は9.11米国同時多発テロの2日前、アラブ人自爆テロ犯により殺害された「救国の英雄」アフマド・シャー・マスードの肖像画を前に整列する国民抵抗戦線の戦士たち。

 

サキ・ハリド(Sakhi Khalid)は、アフガニスタンのカブールを拠点とするHasht-eSubh Dailyの英語セクションシニアエディターです。彼は2017年からジャーナリストとして働いています。ハリドはチャンディーガルのパンジャブ大学でMBAを取得しています。

 

ターリバーンが部族グループや女性に対して採用したより制限的な措置により、最近、国の一部の地域で衝突が増加している。伝えられるところによると、アフマド・マスード(アフマド・シャー・マスード子息)が率いるバグラン州のアンダラブ地区でのターリバーン反政府勢力とNRF(訳注:National Resistance Front of Afghanistan:アフガニスタン国民抵抗戦線)軍との衝突により、過去数日間に死傷者が出た。パンジシール州でも武力衝突が報告されている。最近ターリバーンに対して出現したAFFF(訳注:Afghanistan’s Freedom Front Forces:アフガニスタン自由戦線部隊)は、バダフシャン、パーワン、サマンガーン、カンダハール4州のターリバーン基地に対し攻撃をおこなったと主張した。いくつかの州でターリバーンと戦うための抵抗戦線が組織されつつある。

元アフガニスタン国軍将軍であるサダト将軍は最近、ターリバーンと戦うために元治安部隊を再編すると語っている。一方、ターリバーンの内務省スポークスマンは、抵抗はすべて地上ではなくソーシャルメディア内に限定されていると述べ、現実の抵抗があるとの主張を否定した。

 

抵抗運動の現実の広がり

抵抗戦線のスポークスマンであるセブガトゥラー・アフマディ(Sebghatullah Ahmadi)は、本紙ハシュテ・スブ(Hasht-e Subh)に対して、国民抵抗戦線はパンジシール、バグラン、パーワン、カピサ、バダクシャン、タカール、ラグマン、バルク、サレプル、カーブル、サマンガン、ゴールなどの州に拠点を置いていると語った。国民抵抗戦線の活動は、アフガニスタンの中心部だけでなく、南部と東部の州にも広がっていると彼は付け加えた。

彼はさらに、抵抗はさまざまな形で全国的に発生していると述べた。さらに抵抗戦線には武器志向部隊だけでなく、ペンを武器とする活動家の部隊がおり、ターリバーンが安穏としていられないよう、このペン活動家部隊は、ターリバーンによって国内の檻の中に閉じ込められているのではなく、世界にむけて活動している。

対照的に、地上での深刻な抵抗と惨事は、ターリバーンのスポークスマンによって否定されている。「抵抗はSNS上のページにのみ存在し、地上には存在していない」とターリバーンのスポークスマンは繰り返し主張している。

一方、ターリバーンの副スポークスマンであるエナムラ・サマンガニは、バダフシャンのロヒスタン地区とバグランのコヒスタン地区で衝突があったことを確認した。彼は、地区での浄化活動への関与を宣言しているターリバーン兵士の写真を投稿した。彼はその作戦は、ギャングの一団として彼が言及したことのある国民抵抗戦線の秘密保安基地で行われたと主張している。

国民抵抗戦線が同地域のターリバーン基地を攻撃したことが報告されている。国民抵抗戦線のスポークスマンであるセブガトゥラー・アフマディは、バダフシャンでの衝突中に16人のターリバーンと7人の国民抵抗戦線メンバーが死亡したとツイートした。彼はさらに、国民抵抗戦線部隊は、最近数日間、バグラン州での7波におよぶターリバーンの攻撃に非常に厳しく抵抗し、対応したと主張した。

彼らの武器の出所に関する質問に対して、アフマディは「過去の武器貯蔵庫から持ち出した。しかも最近、十分な武器をアンダラブの戦いでターリバーンの戦闘員から押収した」と明らかにした。

 

抵抗戦線の多様性

ターリバーンが大統領官邸を占拠した昨年8月15日以降、ターリバーンに対して、複数の国民抵抗戦線部隊と別の複数の抵抗組織が登場してきた。ターリバーンを標的とする衝突とゲリラ攻撃が、最近、いくつもの州で、そしてカブールでさえ報告されている。ターリバーンに対抗するために結成され登場した軍隊とゲリラ戦線は、「自由と抵抗」の言葉を使用している。かつての治安部隊はまた、パシュトゥーン人が支配する地域でターリバーンと戦うための彼らの存在を宣言した。これは、国家抵抗戦線部隊によって熱烈に歓迎され、高く評価されている。

ヘルマンドに本拠を置く第215軍団の元司令官であるサミ・サダットに帰属する音声ファイルがリリースされした。この音声ファイルでは、ラマダン後のターリバーンと戦うための元治安部隊の結束について話されていた。ラマダンでは、軍事、政治、市民の3つの面で活動する。サダトは、アフマド・マスードが率いる国民抵抗戦線を支援してきた。しかし、ターリバーンの副スポークスマン代理であるエナムラ・サマンガニは、元軍隊員はターリバーンと戦う意思はないと主張して、音声ファイルを否定した。

同様に、SIGAR*の報告によると、旧アフガニスタン軍の特別部隊が、アフマド・マスード率いる国民抵抗戦線に加わった。
*訳注:Special Inspector General for Afghanistan Reconstruction:アフガニスタン復興担当特別監察官(アフガニスタン復興担当特別監察官は、アフガニスタン復興支援の監査を担当する、アメリカ合衆国連邦政府内の職掌である。 バージニア州アーリントン郡クリスタルシティ に事務所を置き、カーブルなどアフガニスタン国内各地に支所を設ける。四半期ごとにアメリカ合衆国議会に報告書を提出する。)

 

紛糾地帯

ターリバーンと戦う主要部隊である国民戦線を率いるアフマド・マスードは、ノウルーズ(古くからの春分祭)のメッセージで、国の権力と資源を公正に代表する国民の意思を包摂する政府の形成について話している。一方、ターリバーンは、国民の意思に基づく政府を受け入れる態度を示していない。さらにマスードは声明でつぎのように述べている。「武力闘争は解決策ではない」と。さらに、アフガニスタン社会の現実に対処するためにターリバーンに引き続き圧力をかけるよう国際社会に呼びかけている。「正統性を獲得するための唯一の入り口は、選挙を通じて政府を形成することだ」と彼は信じている。対照的に、彼はターリバーンの「降伏して忠誠を誓え」という要求に従うつもりはない、と明快にのべている。

1990年代の統治中(訳注:1996年~2001年)に、ターリバーンは、アフガニスタン・ワーダットの指導者であるアブドゥル・アリ・マザリなど、非常に強力で公的な愛情のある多くの人士を敵として拷問し殺害した。ターリバーンはまた、聖典(コラーン)からの誓いを悪用して彼と仲間をだまして和平交渉におびき出し殺害した。それは聖典の教えを冒涜する行為であった。

セブガトゥラー・アフマディが、ハシュテ・スブ(Hasht-e Subh)に語ったところによると、アフガニスタンの人びとは平和な生活を望んでおり、武力紛争では問題を解決できないことが明白になった。ターリバーンには、アフガニスタンのすべての人びとを代表する包摂的な政府を形成するための選挙以外の選択肢はない。彼はさらに、ターリバーンは無実の民間人との相互扶助に関して非常に攻撃的で抑圧的であり、宗教の価値の解釈において間違いを犯していると付け加え、われわれは問題の交渉に向けて常にオープンである、ターリバーンが国を統治する戦略を変えない限り、武力抵抗が続くだろう、と述べた。

同時に、国内のレジスタンス運動を支援するために、国内から逃避して海外に住むグループの政治家が、軍事的および政治的議題を掲げて「アフガニスタン国民レジスタンス最高評議会(SCNRA)」を結成した。この評議会メンバーは、包摂的な政府形成についてターリバーンとの交渉の扉を開こうとしたが、これまでのところ結果は出ていない。さらに、ターリバーンは、政治家の帰国を促すために、最近、国外の人物と連携するためのコミュニケーション評議会を結成した。しかし、そのような措置の背後にあるターリバーンの動機について何らの保証がないので、誰もまだこのイニシアチブに積極的に反応していない。

ターリバーンは、これまで、アフガニスタンには抵抗勢力はなく、自分たちが国全体を支配していると繰り返し述べてきた。ディスプレイ上で見せびらかすために異なる民族や部族からからサクラを雇ってきて、彼らの政府が国民を包摂した政府であると主張し、選挙の必要性を否定している。反政府勢力は、国際社会が「包摂的政府」について明確な定義を持っておらず、むしろターリバーンの壁を定義しているとと非難している。包摂的政府に関する国際社会の定義と、ターリバーンの強固な支持者による定義はかけ離れている。

国際社会は、包摂的な政府とは、すべての政党を代表する人びとの意思を尊重する公正で透明な選挙を通して形成される包括的な政府であると定義している。

西側諸国のアフガニスタン特使は、双方の死傷者が報告されている軍事的な動きや衝突を報告すると同時に、アフガニスタンにおいて、真の信頼できる国民和解と女性や様々な民族・宗教グループの政府への有意義な参加のプロセスの重要性を強調している。

ターリバーンの表向きの支持者は、ターリバーンが正当化と国際承認を得る助けとなる道を開くために、いくつかのサミット会議を企画してきた。たとえ国際社会がターリバーンを承認しなくても、少なくともイスラーム諸国は、テロ集団を合法的な政府として承認する方向に踏み出すよう奨励されている。中国が開催したアフガニスタン近隣諸国の外相会議や3月23日にイスラマバードが開催したOICサミットは、ターリバーンの支持者がターリバーンのためにイスラーム国家の支持を得るために行った努力の非常に明確な実例だ。これに対して、ターリバーンが採用した時代遅れの統治戦略の結果、会議では反対に直面した。首脳会談の参加者は、国際社会の定義に基づく包摂的政府の形成を繰り返し強調したのだ。

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