Taliban Extends their Survival through Spreading Terror and Continuation of Crisis Situation.
アフガニスタンは周辺諸国の安全を脅かすテロリストの出撃基地となっている。
Afghanistan is a Safe Haven for Harbouring Terrorists, threatening the security of the region.
ファテー・サミ (Fateh Sami)
2022年5月16日 (16 May 2022)
カーブルが陥落し、ターリバーンが再び政権を握って以来、アフガニスタンの人びとの生活環境は悪化している。飢餓、貧困、疾病に加え、カーブルやアフガニスタンの他の都市でテロ活動が毎日目撃されているのだ。このような状況の悪化は、ターリバーンが国の治安を管理する能力すらないことを示している。かつて不安の主要因だったテロリスト集団ターリバーンが政権を取れば、少なくとも以前の政府よりは治安が良くなるだろうという見方もあったのだが。
アフガニスタンの不安な現状がさらに進めば、間違いなく近隣諸国や領域全体にその影響が及ぶ。特に、イランの東側国境には、他の近隣諸国よりも不安が広がる可能性が高いようだ。この問題は、政治、メディア、国内問題の専門家筋に多くの懸念を抱かせている。特にここ数日、イランとターリバーン自称政権との間の紛争と国境線の緊張が目撃されている。その緊張は、イラン東部の国境に軍隊を派遣させるまでに至った。
一方、イランではターリバーン代表を三等書記官レベルで受け入れるという噂もある。それはイラン・イスラム国によるターリバーン首長国の正式な受け入れの開始を示すものである。 このようなターリバーンとテヘランの複雑で矛盾した安全保障と外交の状況においては、両国の関係継続が可能であるかどうかが重要な問題である。
カーブルにターリバーンが再登場して259日が経過した。この間、多くの爆破テロが起こり、最近も多くの死傷者が出ている。アフガニスタンを取り巻く状況は、誰にとっても以前に増して憂慮すべきものとなっている。それにもかかわらず、前国会議員を含む一部の政治家、メディア、ラジオ・テレビは、2021年8月15日以降ずっと、かつそれ以前から、ターリバーンに対する何らかの外交的支援を意図して表明し続けた。
この件に関しては、アフガニスタン教育省への最初の文化顧問を勤めたイラン外務省のアブドゥル・モハマド・タヘリ博士の見解に耳を傾けるのが有意義だろう。何年もアフガニスタンに住んでいた彼の、現在の状況に対するインタビューを下記に紹介する。
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質問:タヘリさん。ターリバーンを外交支援する一方、国内では難敵と見なしている、そんなイラン側の見方は論理的でかつ現実を反映しているとお考えですか?
答:いいえ、まったくそうは思いません。私の分析は、アフガニスタンに長く滞在して得た個人的な経験に基づいています。関係する一部の人びとや政治的派閥が持つ政治的見解は、私の判断や分析の基準ではありません。尺度となるのは私の人間的な見方です。それは私が、ターリバーンを支持したりあるいは打倒するというある紳士たちの政治的目標や立場を知らないからではなく、非現実的な利益に目がくらみ人間的見解や事実をないがしろにすることが決してないからです。
その事実とは、私がアフガニスタンで長い歳月を過ごし、自分の目で見て、自分の血と肉で感じた事実です。党派や政治的利害に基づいて分析すれば、事実は完全に逆転し、観客が見せられるのは現実はかくあるべしという幻想です。私はヒューマニストとして、あなたの質問に対して、私がこの目で見た事実を語りたいのです。自転車に乗っている少年を銃で撃ったり、身内でない男性と話した女性をカーブル競技場で処刑したりすることをやすやすとやってしまうターリバーンが、アフガニスタンで自分たちを確立しようと8か月以上政権を握っている、それが事実なのです。
この間、このいわゆるアフガニスタン・イスラム首長国のパフォーマンスは、経済や生活の問題からメディアの自由、女性の権利、政治、文化や社会問題、教育、そして治安にまで至る、生活のあらゆる側面やレベルにおいて、非常に破滅的です。今や確実にアフガニスタンは完全に衰退し破壊される寸前にあります。さあ、このような実績を持つこのような政府が、最初の時期も直近の数か月も、イラン人たるわれわれの国内支援をえることなど、どうすればできるでしょうか?
質問:最近のアフガニスタンの安全保障上の懸念に加えて、ターリバーンを変えるという主張と、イスラム首長国による包摂的政府の樹立というテヘランや国際社会が繰り返す国家承認の前提条件を、あなたは同一の悲観的なメガネで見ているのでしょうか?
答:なぜ悲観的というんですか! 私の観察と考察は極めて現実的ですよ。アフガニスタンのすべての民族と宗派が参加する包摂的な国民政府の樹立において、ターリバーンに期待できる役割はないのです。ターリバーンの約束を期待してはいけません。つまり、イラン・イスラム共和国が、どのような論理、知恵、知性、政治的洞察力を持って、ターリバーンのこうした言葉や約束を信じたのか、私には理解できません。
ターリバーンとその構成員について少しでも知識があり、グループの発足以来の記録を見直した者ならば誰でも、ターリバーンが決して、強調しますが、いかなる方法でも、他者と権力を共有しないことは容易に理解できるはずです。彼らは、いかなる政治的潮流とも権力を共有しません。同時に、民主主義に対するターリバーンの最大の挑戦は、国民の投票に関心を示さず、投票箱の集計に関わらず権力を奪い取る算段を立てることです。このようなグループ(ターリバーン)は、派閥、徒党、ギャング、潮流、会衆など、それをどう呼ぼうとも、民主主義や広範な政府とは相容れない深刻な問題を抱えていると私は明言します。
結成以来今日まで、ターリバーンは民主主義、国民の参政権、秘密投票、政権交替などに正当性を与えていません。彼らは、過去にも将来にも、民主的な選挙に関心を示しません。民主的な政府の形成に関するターリバーンのイデオロギーは、選挙の正当性と秘密投票の信憑性を否定することに基づいています。つまり、「ターリバーンによるイスラム首長国」とは、単にこの国の民主主義の破壊と正統性の排除を意味するのです。
まさかとお思いですか? 逆にお聞きしますが、民主的な言説や民主的な交流の独創性を信じず、選挙を禁じられたものと考えているターリバーンが、政権を握るための方法として選挙を受け入れる用意がどうしてあると言えるのでしょうか。彼らの判断によれば、選挙で投票する者は不届き者であり、殺されなければならないのです。そんな彼らの行動に変化が生じると誰が期待するでしょう?
質問:では、アフガン大使として、ターリバーン政府の代表を三等書記官レベルで受け入れるというテヘランの対応には同意しないのですか?
答:ちなみに、それは私が肯定的する数少ない対応のひとつです。
質問:どんな理由でですか?
答:アフガニスタン内で行われる、ターリバーン政府によるイランに対する破壊的な行動のすべてに対して、必要なときにいつでもテヘランの公式反応と抗議を、このグループの代表者を通して伝達することができるからです。いいですか、私たちの相手は近代的な統治システムを持つ国ではありません。正式な「政府」でも「国家」でもないのです。私たちが直面しているのは、アフガニスタンで権力を掌握したターリバーンという民族・部族・宗教政権なのです。(原著者注:ターリバーンはパキスタン、アメリカ、イギリス、アシュラフ・ガニー政府が牛耳る内外の勢力に援助されている。)
同時に、この政府内には、内外のさまざまな問題でターリバーンに同調しない幅広く多様な潮流が存在しています。だから、ターリバーンがイラン・イスラム共和国に敵対する何らかの行動や立場を表明したとしても、テヘラン側は誰の襟首もつかめません。しかし、ターリバーンの代表がテヘランにいれば、どんな抗議も本国のターリバーン当局に伝えることができるのです。その上、それがただちにターリバーン政権の承認を意味するものではありません。
質問:これまでのご指摘をお聞きすると、テヘランとイラン社会がターリバーンを承認する前提条件は、包摂的な政府の形成と結びつかないでしょうか?
答:ターリバーンが選挙に正当性を与えない以上、「政府」なるものを形成しても意味がないことは先ほど述べたとおりです。これは部族や宗教による支配の問題であって、国家の問題ではありません。したがって、この点を考慮すると、テヘランはわれわれが知らない何らかの理由でターリバーンをいまだ支援したいのか、それともテヘランが現状を知らないかでしょう。後者ならば、〝罪より悪い言い訳〟です。ご存知のように、ターリバーンはその性質と方針からして、唯我独尊の過激なテロ運動です。ですから、彼らが全権を奪おうとするのは当然です。
ただし今後は、イラン国内の個人、メディア、政党、団体がターリバーンを支持し続けようと欲しても、ターリバーンをうまく正当化したり、20年前を引き合いに出してその違いを過大評価することはもはやできなくなったのでご安心を。政府閣僚の顔ぶれを見れば歴然です。ターリバーンは、間違いなく20年前よりも良くなってはいません。たとえより悪くなっていないにしても。
質問:あなたは、アシュラフ・ガニー政権の前外務大臣であるモハマド・ハニフ・アトマールと長年にわたって直接協議してきた経験があり、彼の政治・外交観をまるでハミド・カルザイを知るかのように熟知しているようです。アブドゥラ・アブドゥラなどの旧政権(アシュラフ・ガニー政権)の残党からハミド・カルザイ、さらにはグルブディン・ヘクマティアールといったアフガニスタンの名だたる政治家が、未だにターリバーンを管理も穏健化もできていません。これらの人物はこれまで、3人評議会の結成など、一定の手段でターリバーンとの関わりを模索してきましたが?
答:現実問題として、私はこれらの人びと、さらには彼らで構成される評議会の影響力についてあまり楽観視していません。これらの人びとは平和時の感覚でアフガニスタン発展の舞台に登場しました。彼らは独自の勢力圏を持ち、アフガニスタンの発展、特にカーブルの発展に政治的ベクトルを向けました。しかし、その影響力はいま著しく低下しています。彼らでは状況に対処し、ターリバーンを和らげることはできません。まったくできないのです。彼らは、身の安全を保つため万事を慎重に進める必要があるのです。
質問:ヘクマティアールでさえも?
答:そうです、ヘクマティアールでさえも。
質問:なぜですか?
答:グルブディン・ヘクマティアールはターリバーンのメンバーであったにもかかわらず、最終的には政府とカーブル体制に参加したからです。したがって、ターリバーンは彼を昔のようには見てはいません。そう考えると、もし何らかの理由でターリバーンがヘクマティアールを自分たちの政策や計画に沿う選択肢と見なすことを止めれば、彼を排除しない理由はありません。
質問:では、ターリバーンがこの人たちを排除するシナリオがあるとお考えですか?
答:今、私たちはオール・ターリバーン政権の成立を目撃しています。そのため、排除のシナリオが完遂される可能性は高まっています。カルザイ、アブドゥラ、ヘクマティアールなどに限ったことではありません。ターリバーン支配が続く限り、アフガンの政治家、エリートはすべて力尽くで排除される可能性があります。今後、ターリバーン政府が形を整えてくれば、現在アフガニスタンに残っているすべての政治家は命の危険を感じざるを得ません。ただ、もちろん、数日、数週間、あるいは数か月のうちに起こることではないのでご安心ください。つまり、これらの人びとがターリバーンによってすぐに起訴され、処刑される可能性はほぼありません。でもそれは、現在の不利な状況により、ターリバーンがこの問題を一時棚上げした結果であるとも言えます。
短期的には彼らの身に何も起こらず、裁判も処刑も免れたとして、逆に中長期的にはどうでしょう。ターリバーンがアフガニスタンの支配力をさらに強め、彼らの閣僚を中心とするイスラム首長国を、有言実行うち立てたとき、これらの政治家一人ひとりを裁判にかけ処刑するか、ターリバーンには責任のないテロ事件によってアフガニスタン発展の舞台から追い出すか、そのどちらかとなるのは確実です。特に多くの国民の支持を得ている政治家は消されるでしょう。
しかし、昨年8月にアメリカ人が脱出する中、カーブル空港でテロリストが攻撃し爆破事件を起こした後、アフガニスタンでISISが台頭したことによって、ターリバーンは今や排除に対しより前向きになっています。この点には注意が必要です。この潮流(ISIS)にテロ活動を委ねることができるため、ターリバーンの仕事は非常にシンプルになります。現在、実際には、ターリバーンの作戦遂行・治安維持部門として覆面活動を行うアフガニスタンのISISは、ターリバーン政権と対立するアフガニスタンの政治的、さらには社会的、市民的反対勢力をも片っ端から排除する任務を負うことが可能です。
質問:あなたのこれまでの分析によると、第2次ターリバーン政権発足後にアフガニスタンで爆弾テロが頻発するが、それは部族・宗教的に反パシュトゥーンの他者を排除、粛清、威嚇するための計画的運動そのものであるというシナリオもあり得ますね。そして、演じるのは反ターリバーンで、ISISなどのより過激な潮流の名で活動するため、ターリバーンには直接的な責任が及ばない。このシナリオは、どこまで現実味があると思いますか?
答:残念ながら、アフガニスタンの政治・治安状況は、このシナリオを非常に深刻かつ大胆に裏付けています。すなわち、例えばハザラ人ら一部の民族と、スーフィーに傾倒するスンニ派さえも含む各宗派、およびあらゆる反対勢力を完全に粛清するために、ターリバーンはこうした一連のテロ作戦を遂行します。それは同時に、アフガン社会全体を威圧することになります。
しかし、その間に非常に重要なポイントが2つあります。第一は、ご質問にあるように、支配する側についたターリバーンは直接自爆作戦を行えなくなったので、ISISのようなグループにテロ作戦を代行させ、自らは裏で指揮するのが最善かつ理想的な状況となりました。第二は、アフガニスタンの街頭やモスクでのテロ活動や爆発の継続と激化によって、この国の治安情勢が不安定になることを忘れてはなりません。その不安定こそターリバーン政権が存続するための最良の条件なのです。
質問:それはまたどうしてですか?
答:いいですか、ターリバーンは、アフガニスタンの現在の治安状況を管理するという口実で、包摂的政府の樹立というイラン・イスラム共和国と国際社会全体の前提条件の履行をいつでも遅らせることができるのです。したがって、ターリバーンは望む限りこの暫定政権を継続または延長できます。経済、治安、社会、政治などどのような観点からでも、ターリバーンはアフガニスタンの危機を言い訳として利用すればよいだけなのです。この危機的状況を管理すると主張して。
同時に、ターリバーンは、こうした微妙な治安状況を口実に、自分たちの政権を外交的に受け入れさせるためのツールとして利用できます。もちろん、ターリバーン体制のテロ統治に内閣や政府という言葉を使うのは抵抗があるので、同じ政府でもターリバーン系政府と呼ぶことにします。さて、ターリバーンは今、履いてる靴を上下ひっくり返しました。閣僚の確固たる顔ぶれにもかかわらず、自分たちの内閣は一時的なものだと主張しているからです。これもターリバーンというテロリスト一派が嘘つきと言われる理由のひとつです。
ご存知の通り、革命やクーデターその他による移行期や危機的状況のもとで、暫定政府が従うべき政治論理があります。それは暫定当局がより多くの政党や政治潮流を組み入れて政府を立ち上げることに、より多く腐心することです。その結果、移行期や危機をうまく乗り切ることができます。ところがターリバーン党は、危機を引き起こして一度にすべての権力を掌握したいのです。
質問: ターリバーンのこの偽善は仲間内でいつまで通用するのでしょうか? というか、この嘘はいつ終わるのでしょうか?
答:まず第一に、私はターリバーンが意図した政府はすでに形成されており、もはやこの政府を変更する計画はないと明言します。第二に、ターリバーンが自らの統治の性質を暫定的なものであるとして、政治的・外交的に時間を費やしているのは、仲間内で調整しているからであって、ターリバーンに反対したり批判する勢力を組み入れるためではありません。
質問:アフガニスタンでのあなたの専門分野について語る前に、第二次ターリバーン政権の影でアフガニスタンの現在の治安の悪さが継続し強まった場合の破壊的な、そしてもちろん直接的な影響について掘り下げておきましょう。 その結果はどうなるとお考えですか? 特にここ数日、イランとの国境線での緊張が見られ、軍隊が出動する事態にまで発展しています。また、ターリバーン政権が両国間の国境検問所を封鎖したがっているというニュースはありませんか?
答:ここ数日のイラン東部国境での一連のアフガニスタンとの衝突事件について考えると、また私の予測をのべると、現在の状況がターリバーン政権の安全保障上の問題のみから生じたとは思えません。問題はもっと深刻で、こうした表現を超えたところにあります。それはイラン・イスラム共和国に対する「直接・間接の安全保障上の脅威」というべきです。間接的な脅威は、ゴラン高原ですが、その話は後でします。まず直接的な脅威ですが、それはISISテロ集団、特にホラーサーンISILの復活です。アフガニスタンで彼らを強化したのはターリバーンで、彼らは今どこにいますか? この事態はイラン・イスラム共和国に対してターリバーンが反発していることを明らかに示しています。その他、今やターリバーン政権の本体となったハッカーニ運動や、アル=カーイダなどのテロ・過激派も忘れてはなりません。
それ以上に重要な点は、米国の安全保障上の影響力です。つまり何よりもまずイスラエルです。現在のアフガニスタン情勢が続けば、ゴラン高原に跋扈するモサドにとって最高の活躍の場となります。つまり、アラブ首長国連邦、バーレーン、イラクのクルド人地域、トルコ、アゼルバイジャン共和国のカラバフに加えて、ターリバーン政権が誕生した今、アフガニスタンにおいてイスラエルはプロのスパイを育て、テロ集団に潜入させることができます。イランの国境を東から侵犯し、イラン東部の治安を悪化させるようなテロ運動を扇動することも可能です。これが間接的な脅威です。
質問:最後にあなたの主な専門である教育分野に焦点を移しましょう。アフガニスタンで、現在最も重要な懸念のひとつが、ターリバーンの復活の影で現在の教育システムが破壊されていることですから、これは特に重要な論点です。ターリバーンが女子の教育を認めないことが、こうした懸念に拍車をかけています。いずれにせよ、ターリバーン崩壊後のアフガニスタンの教育システムの変革を目指し、あなたは長年、効果的かつ真剣に役割を果たしてきました。こうした懸念が続けば、この国の教育システムから女子が徐々に排除されていき、さらには高等教育システムや大学そのものもやがて否定されると見るべきでしょうか?そう考えると、ターリバーンが政治的に復活したことで、あなたが手がけたアフガニスタンの教育制度改革の成果は無駄になったのでしょうか?
答:もしターリバーンが20年前と変わっていないとすれば、私の考えでは以前より劣悪でより暴力的ですが、そうなるのは時間の問題です。もしターリバーンが教育システムにおいて、従前の考えをさらに突き進めてアフガニスタンの高等教育に介入すれば、間違いなくそうするでしょうが、残念ながら私の努力は即座に消え去ります。ただアフガニスタンの教育システムを変革しようとしたイラン・イスラム共和国の努力すべてが無駄となったのです。アフガニスタンでの私個人の努力と成果など強調しても無意味です。
とにかく、私もアドバイザーとして、ターリバーン失墜後、アフガニスタンの教育システムを変革しようと努力しました。イラン・イスラム共和国は、アフガニスタンの教育システムの変革に真剣に取り組み、学校を建て、組織をつくり、人員を育て、物流を整えたのです。しかし重要な点は、ターリバーンの復活によりわが国が失ったのは、その経費のみだということです。つまり、アフガニスタンの教育システムの破壊による最大の損害は、まず第一にアフガニスタンの国民自身が負うのです。イラン・イスラム共和国の損害など二の次です。
とは言え、イラン・イスラム共和国は、経済的にも、社会的にも、文化的にも、そして何よりマンパワー的にも、多くのサービスと資金を費やして、イランがまさに真ん中で牽引してアフガニスタンの教育システムを変革してきたのです。アフガニスタンでパシュトゥーン人の中心地であるカンダハールも、新しい教育システムを求めていました。私個人が長年続けた活動としては、2週間に一度、イラン・イスラム共和国の識字運動の先生たちをこの地に呼び寄せました。アフガニスタンの新しい教育のために、近代的な足がかりを築こうとしたのです。
しかし、この国の教育制度を推進するための私たちの努力の成果は、結局、パキスタンの手先であるターリバーンによって、永遠に無に帰してしまったのです。
以下の画像はタリバンが人々をどのように扱っているかを示すほんの一例である。
これは砂漠の裁判所と呼ばれ、彼らが好きでない人、特に非パシュトゥーン人を有罪にするためのものだ。脅迫、暴力、恐怖の伝播は、人々が国を離れる原因となる。タリバンの行動のために、ほとんどの人々は不満をもち、ある場合には自殺する。
タリバン一味の一人一人が、裁判所で裁判官や判事として活動することができる。彼らは警察として働くことができ、彼らの野蛮なシャリア法の規範を実行する。
ビデオは目撃者の一人がモバイルで密かに撮ったもの。
この飢えた人びとの行列は、砂漠と山を越えてイランやパキスタンに向かう難民の行列のひとつ。
カンダハルの市場の真ん中で男性を打ちのめしています。
これがターリバンの刑罰のやりかただというのです。
ターリバーンの残虐性、ジェノサイドの実際を明かしだす一例です。
残虐シーンがあります。閲覧注意
この恐ろしい映像は、昨年の夏からネット上で拡散されているもので、パンジシールでのタリバンの民間人に対する虐殺のひとつを撮影したものである。このような虐殺は、パンジシール以外でも繰り返されている。
タリバンがパンジシールを攻撃したのは、旧政権が崩壊した後の謀略である。故アフマド・シャー・マスードの息子アフマド・マスードの指導・指揮の下、「アフガニスタン解放国民抵抗軍」(NRF)と呼ばれる抵抗軍が結成された。タリバンは当初敗北したが、パキスタンのワジリスタンを中心に追加部隊が送られ、タリバンを支援した。 作戦の間、タリバンは彼らに対する抵抗と不満を抑制するために、恐怖の雰囲気を広めるために虐殺を繰り返している。
タリバン侵略軍は、罪のない非戦闘員や一般人を集め、殺害している。それらは、何らかの形でビデオ撮影され、メディアにリークされているが、それらはほんの一例に過ぎない。しかし、それらはタリバンが権力を得る前とカブールでの9ヶ月の政権の間に、何度も何度も犯された犯罪でる。
タリバンの大量虐殺は、彼らが権力支配の継続のためにのみ、人びとへの抑圧方法として考えていることを示している。したがって、タリバンへのささいな不満も厳しく処罰される。
タリバンは、抵抗勢力は存在せずアフガニスタンを完全に支配していると主張しているが、冬が終わると、パンジシールとアフガニスタン北部の州を皮切りに、国中で彼らに対する武装抵抗が強まっている。
【注】
昨日(2022年5月19日)、アンカラ(トルコ)で、アフガニスタン全土でタリバンに対する連合軍を結成するために、様々な階層の人びとを代表する250人の政治家、軍人、有力者が参加する会合が開かれた。
タリバンがさらに大量虐殺、女性弾圧、残虐行為を行うのを阻止するために。
(Fateh Sami)