Afghanistan Entangles in Protracted Rivalry Game Due to its Geographical Location and Rich Mineral Resources.
アフガニスタンはその地理的位置と豊富な鉱物資源により、長い間敵対者たちの争奪ゲームに巻き込まれてきた。

 People Horrified Under Taliban Committing Heinous Crimes as Pawns of this Game.
このゲームの手先であり凶悪な犯罪を犯すターリバーンの下で人々は恐怖に怯えている。

 

ファテー・サミ (Fateh Sami)
2022年9月19日 (19 September 2022)

アフガニスタンのテロ組織に対する堅固なレジスタンス司令官であったアフマド・シャー・マスード(Ahmad Shah Masoud)は2001年9月9日に暗殺され、2日後の9月11日に、ニューヨークのツインタワーがアル=カーイダによって攻撃された(と言われている)。それはアフガニスタンのターリバーンが崩壊するきっかけとなった。アフガニスタンは、その占領の本質はさておき、何十億ドルという経済的、軍事的援助を引き寄せる機会を得た。20年にわたってチャンスを与えられ、外国から莫大な財政的および技術的援助を受けたのだから、その機会を国の安定、繁栄、安全、発展のために有効に活用することが可能だった。

しかしそうはならなかった。なぜか。国民の意志の欠如、行政の腐敗、指導者の裏切り、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)とアシュラフ・ガニー (Ashraf Ghani)の傀儡にしてマフィアが支配する政権のためであった。彼らがターリバーンの権力復帰への道を整えたのである。ターリバーンの権力への再登場は、国内および国際的な要因に基づいて引き起こされた。もし、何十年にもわたって提供された機会と何百億ドルもの国際的な援助が効果的に管理され使用されたなら、アフガニスタンの状況を完全に変えることができただろう。いまのような大災害に見舞われることもなかったはずだ。長引く戦争の結果、20年後、ターリバーンというテロリスト集団はパキスタンと共謀したアメリカによって、再び政権を握らされた。

 

ターリバーン支配とアフガン国民の苦悩

アフガニスタンにおけるターリバーンの1年間の支配は、国民と国家に悲惨な結果をもたらした。ターリバーンの頑迷な試みは、アフガン国民の社会生活のすべての領域に最悪の結果をもたらし、イスラームの誤った排他的な解釈をあらわにした。このアプローチで、ターリバーンは、彼らが国を運営する知識と技術に疎いだけでなく、自らの責任、国の今の現実と将来の必要性、そして周辺領域と世界の発展に無頓着であることを露呈した。もし彼らに理解力があったならば、過去1年間に政治、経済、社会、文化、安全、安定、福祉の分野で、自らの存在と行動の結果として起こった災害の深さ、幅、範囲に注意を払い、責任を感じたことだろう。

 

ターリバーン情報部か、それとも恐るべき地獄か

イランに住むアブドゥル・サマド・アルコジ(Abdul Samad Alkozy)は次のように述べた。「ヘラート州のターリバーン情報部に勤務する人物からの信頼できる報告によれば、ヘラートの人々に対して地獄の組織が行った恐怖、抑圧、不正、拷問、殺害、差別、汚職、性的暴行その他の反人間的残虐行為の真実が浮き彫りにされている。標的は特に元軍人、政治家、市民活動家、メディア、反対派および抗議する政党で、ターリバーン反対派に関係する人々には、虚偽と憎悪の密告に基づき、宗教、政治、民族、宗派、人種を理由に、そのような行為が加えられた。情報提供者は、身元を明かしていない。もし明かせば彼と家族の人生は終わるからだ。」

さらにアルコジは、悪魔と悪霊がヘラートに姿を変えてはびこり、無教養なターリバーンは尋問の過程で野蛮な行動を取っていると述べた。ターリバーンの尋問の道具は文書や何らかの証拠ではなく、あらゆる種類の非人道的な手段が拷問に使われている。拷問の間、彼らは外に聞こえないように被疑者の目と口をしっかりと閉じ、叫び声が漏れないようにする。これまで、数十人の健康な人間が「監視部」と呼ばれる拷問部屋に連れこまれた。拷問の後、死体は親族に引き渡されるか、密かに埋葬される。他の州、中部や北部の出身者の遺体も、礼を失したやり方で埋められている。

ターリバーンの意に沿わない、またはターリバーンに反対する発言をした人たち、さらに数枚の写真を持っていただけの者でさえ、残酷な拷問の末に殺されている。この犯罪を報道する人権機関やメディアはない。ターリバーンは、ヘラート州情報機関の犯罪について、わずかな情報の伝播も許さない。もちろん、アフガニスタンのすべての州で状況は同じだ。とくに首都カーブルを含む中央と北部州は、他の州よりひどい状況だ。

容疑者には全種類の差別がふりかかり、その範囲は、民族・言語・宗教・政党・居住地・地域性にまで及ぶ。ターリバーンは、国民抵抗線戦に民族的繋がりを持つものを皆、訴追する。対象は北部のパンジシール州と隣接するバグラム州のアンダラブ渓谷の出身者、さらにバルハブ地区(訳注:サーレポル州)・パルヴァーン州・カーピーサー州のハザラ人、そして最北部のタハール・バダフシャーンの両州民たちで、その数は何百万人にものぼる。

ヘラート州の拷問部屋では、暴虐なターリバーンが囚人たちに残酷な罰を加えている。被告を赤子のように濡れた毛布でくるんで縛り、胸の上に重石を乗せ、口にはバケツいっぱいの水を注ぎ込む。水は耳から流れ出る。多くの被告はこの残酷な方法で殺された。バラ鞭打ち、平鞭打ち、殴打、靴底、木材や電線が日常的に使われている。体の弱い被告や病気の被告は非人道的な扱いを受ける。容疑者に十分で健康的な食事は与えられない。当然、このような監視と拷問の事実を家族に知らせるのは禁じられている。ターリバーンの役人、知事、治安部隊なども、怖さのあまりこの地獄に関係し無実の人々を守ろうとしない。

ターリバーンの行動は、社会生活のあらゆる側面に損失、危機、不幸、破滅的な影響を与えたが、その概略は下記の通りである。

 

政治領域において

ターリバーンは、ドーハ和平合意に定められた他の政党と協力した包摂的な国民政府の形成ができず、その結果、政治的発展プロセスを開始できず、正当な政府は形成されなかった。それどころか、彼らは集団、宗教、民族、言語による権力と富の独占を強化した。

– ドーハ交渉での合意事項を無視して、パンジシール州に侵攻し、同州のいくつかの地区を強制占領し、残虐な殺害、強制移住、土地の収奪、民間人や無実の人々の逮捕、投獄、拷問を行い、あからさまに人権を侵害し極悪な戦争犯罪に手を染めた。

– 彼らは、国際社会が要求する包摂的政府の樹立、人権の尊重、女性の権利、女子教育などをアフガニスタンへの内政干渉とみなしている。

– 彼らは政敵との会談を拒否し、政敵との会談の時期は過ぎたとしている。ターリバーンテロ集団による政権は、忠誠を表明するか、一般市民として満足する場合のみ、国内に住むことができると主張している。

– 権力と富はこのテロ集団によって独占された。彼らは権力を侵食し、獲得した権威を征服、富を戦利品、人々の生命を支配することを名誉だと考えている。彼らは、人々をイデオロギーの問題などで非難し、自分たちの犯罪を正当化する。告訴されても、警察、情報機関、司法の力を使って原告を処罰しようとする。

 

政権1年間の経済への影響

外国からの援助の打ち切り、アフガニスタンの外貨準備高90億ドル以上の凍結、銀行口座の閉鎖、経済不況、国内総生産の減少(40%近く)、一人当たりの所得の減少、高い失業率、インフレと国民の購買力の減少、極度の貧困、物的・人的資本流出、投資の欠如、不安(物理的・心理的)はターリバーンの権力掌握によって生じた明白な結果である。

ターリバーン政府が発表した今年度の国家予算は2310億アフガニ(約25億ドル相当)で、そのうち通常予算は2030億アフガニ、開発予算は279億アフガニである(訳注:前年度は総予算4730億アフガニだったので半減以下となり、この20年間で最低、特に開発予算は1600億アフガニから8割超下落した)。財政赤字は440億アフガニを見込んでいるが、これまでも国内所得の増加と輸出所得の増加で補い、経済を循環させてきたと主張している。しかし現状は、人道支援のために送られた国連からの20億ドル(約1800億アフガニ)規模の現金援助(ドル)が、通貨アフガニの流通を助けているだけで、アフガニスタンの経済は揺れ動き不安定な状態のまま、どうにか人工的に保たれているのだ。

参考記事
https://tolonews.com/afghanistan/budget-178015
https://8am.af/eng/un-provides-2-billion-in-aid-to-afghanistan-in-the-last-six-months/

アフガニスタンはこの1年間、国家予算の75%を海外からの援助に頼ってきた。(訳注:2021年12月23日付ウォールストリートジャーナル紙によると、2022年に国連は80億ドルのアフガン支援を計画している)。2001年から2022年という長いスパンで見ると、アフガニスタンの経済はこの12ヶ月で一気に40%も縮小した。つまり、過去の国内総生産は年約200億ドルでずっと横ばいだったが、現在は120億ドルにまで減少している。労働人口のうち70万から90万もが失業しているのは、指摘されているこの欠陥のためだ。働く女性の60%以上が失業し、その経済的損失は6億ドルから10億ドルにのぼる。現在、アフガン経済は小さな均衡を保っている。均衡の理由は、市場でのアフガニ通貨と外貨の流通量が少ないためだ。中央銀行は紙幣を印刷することができていない。20億ドルを保有しているが、そのうち10億ドルは外国からの援助金だ。

参考記事
https://www.wsj.com/articles/u-n-plans-8-billion-fund-to-restart-afghanistan-economy-11640268816
https://www.ilo.org/asia/media-centre/news/WCMS_834527/lang–en/index.htm

 

アフガニスタンではなぜ、失業率が高いのだろうか。 米国のアフガニスタン復興特別監察官(SIGAR)によると、昨年8月にターリバーンが支配して以来、少なくとも90万人のアフガニスタン人が職を失っているという。治安の悪さ、政府機関や民間企業での雇用不足、産業の低迷などが、失業者増加の主な要因となっているからだ。

では、2022年のインフレ率はどうだろうか。 2021年2月から2022年2月までの7.9%の上昇を受け、2022年3月まで1年間で消費者物価指数は8.5%の上昇となった。農業はアフガニスタンにおける最大の雇用部門である。農業部門に雇用される労働者は、雇用全体の60%を占めており、労働者の5人に3人が農業関連活動を主な収入源としていることになる。

アフガニスタンでのインフレの原因は何か。それは、他国同様、世界的な食糧・エネルギー価格の上昇が国内経済に浸透し、高インフレを引き起こしている。労働需要は2月以降、国内の一部地域でわずかに改善し、6月には賃金にやや好影響を及ぼした。しかし失業の発生により、約10億ドルの所得損失が推定されている。

アフガニスタンでは、鉱物、特に石炭を無差別に採掘・輸出し、国会や法律がない中で政府の収入や予算経費として恣意的に使用されている。一般的に、宝物を目にして、それを神の恵みと考え、富を無責任に使用することで、アフガニスタンを憂慮すべき経済状況に追い込んでしまった。

国が経済的に成長する機会と国民所得の向上を邪魔し破壊する。鉱物・天然資源を過剰に採取・輸出する。自作自演の予算原資を集団的・政治的に利用する。この国には開発予算がない。開発予算がないことは、将来の繁栄の見込みがないことを意味する。将来の繁栄が見込めない。前述の通り、2022年のターリバーンの総予算2320億アフガニのうち、開発予算はわずか279億アフガニである。

 

社会的、市民的自由の分野において

国家への不信が募り、民族的な偽善が激化する。政治・経済・教育活動から女性を排除する。女性の請願やデモを弾圧し、不法な拷問を加えて、政敵・元政府職員・抗議する女性・反対するあらゆる声を黙らせる。ターリバーンの野蛮な政権下では、反対者への違法な裁判が多発し、人間の尊厳と国際法が踏みにじられている。しかし、世界は傍観者として見守るだけだ。

 

文化的背景において

地方の文化や価値観に対する公然たる敵対、特に教師が逃避せざるを得ない現実への無関心やペルシャ-ダリ語への反感。シーア派・ヒンズー教徒・シーク教徒の宗教的な集会所の安全確保への無関心。音楽家の仕事の禁止。映画・演劇という芸術活動、メディア、ジャーナリズム、言論の自由に対する阻止と制限。活動家の逃亡。いくつかの出版社やオーディオ・ビデオメディアの閉鎖。これらすべてが、ターリバーンによってもたらされた。彼らを権力に据えた元凶が、カタールのドーハにおけるいわゆる平和交渉の密約である。

これとは別に、社会的な側面もある。つまり、アフガニスタンにおける民族や言語の違いである。アフガニスタンが過去、統一国家になれなかったことを理由に、外からもたらされた政府は事を起こし、アメリカ軍の存在を利用して分割統治したり、旧イギリス植民地時代の政策を蒸し返して権力を継続しようとした。今、民族の分断は明らかな現象となっている。政府の側は、民族の共存の代わりに、排他的な言語競争に火をつけ、機を見て、アフガニスタンのほとんどすべての人々が話す普遍的なペルシャ-ダリ語を意図的に制限し、難癖をつけて破壊しようとさえしている。

彼らは、さまざまな方策を駆使して、こうした破壊活動を行ってきた。彼らは、社会の多数派の言語に対し偏見を持ったが、そのペルシャ-ダリ語こそが、軍事、国家、行政部門、また経済用語や地名の策定においても、一元的に国語としてこれまで採用されて来た。そうした知的・社会的な支持にあらがうターリバーンは、反ペルシャ語の行動・活動を公にし、人々をそれに従わせた。20年前の第一次ターリバーン支配のころも、昨年も同様だ。ちなみに、ハミド・カルザイやガニー・アフマドザイの腐敗した政権時も同じ反動が起きていた。アフガニスタンでは、ペルシャ-ダリ語が、オフィスでの行政言語として常に好んで使われてきたのだ。民族に共通し、民族を超えたコミュニケーションの言語であるからだ。しかるにターリバーンの下で、ペルシャ語は現在、差別的、屈辱的に、二流言語として扱われている。ペルシャ-ダリ語の制限は報道の場においても現れている。

 

教育・文化分野において

6年生以上の女子が学校から閉め出され、学校や大学での教育システムが崩壊し、教授や教師が逃げ出し、教育システムの連鎖全体が崩壊したアフガニスタンは、人的資本の危機に直面し、将来が不透明になっている。ターリバーンの下では、「異教徒!」のスローガンは、彼らへの反対者を中傷するためにとても一般的なものだ。彼らは今日の科学と技術に関する知識を持たず、西洋をまねし誘惑されるのは青臭い淫欲だと決めつけている。

女子を学校から閉め出した理由は、若い世代の学びを否定し、学識を持たせないようにし、女性が持つ輝ける文明に気づいていないためだ。ペルシャ-ダリ語は千年以上の歴史を持ち、今日のアフガニスタンにおける文化の基本的な柱となっている。この言語による詩人には、古くはハンザラ・バドギシ(Hanzala Badghisi /9世紀ターヒル朝時代に活躍した詩人)やラビア・バルキ(Rabia Balkhi/10世紀の女性詩人)、現代ではタジク人の女性詩人ホマイラ・ナクハト・ダストギルザーダ(Homaira Nakhat Dastgirzada /1960~2020)らがおり、何百人もの政治、文化、科学のエリート女性たちがこの言語を操る集団から輩出されて来た。ペルシャ-ダリ語圏の文化は、美徳、訓導、箴言に満ちている。箴言は論理的で発言に権威をもたらす。例えば、「神に断りネズミをとる猫なし」「罪を意識すれば絶えず怖れを抱く」「高枝のねぐらは最安全ならず」「弱った犬こそ柵から助け出せ」「安全は中道にあり」などなど。

参考サイト:詩人ナクハト
https://hastitv.com/faanoos-kheyaal-a-poetry-night-with-mrs-homaira-nakhat-dastgirzada/

驚くべきことに、ターリバーンは無学で読み書きも出来ないものを検査官に任命して、人々が良いことをし悪いことをしないよう誘っているが、その検査官の長こそが無学の権化で、その時々の技術と語学に関して最も多くの知識を持つふりをしているだけなのだ。技術、現代科学、商売とビジネス。これらにアクセスできる人々は、Googleのボタンを押すことによって、イスラームのすべての歴史書にさえアクセスすることができる。一方、ターリバーンは無知の沼でおぼれているのだ。

 

国際関係の領域において

国際的な正統性を付与され、世界から注目と援助を得られるような正当な政府の形成には失敗した。結局、国が孤立し、外部からの介入にさらされ、テロ集団の潜伏生活と不信の雰囲気が強まった。これまでに述べたことは、この1年のターリバーン集団によるテロ支配の弊害の総まとめである。

 

安全保障がなく恐怖の中で暮らす国民

ターリバーンが政権をとってから 1 年が経った。この間、アフガン国民はターリバーン集団の非人道的な犯罪を目の当たりにしてきた。彼らの犯罪はファシスト・ヒトラーをしのぎ、パレスチナ人にシオニスト政策を押しつけるユダヤ人よりもひどいものである。レイプ、残虐、いじめ、嘘、悪口、差別、さらには進歩・知識・文明・高い人間的価値に対する憎悪はターリバーン集団の特徴であり、彼らはこの一年、行動でそれを証明した。彼らは、シャリーア法と宗教学者の判断の名の下に彼らの犯罪を隠している。ターリバーンの人道に対する犯罪は極めて明白かつ確実に遂行され、アフガン国民の生活を地獄に変えている。

国際社会は、ターリバーンによる不安、危機、権利の否定、差別的な政策については語るが、実際には、そうした偽りの人権キャンペーンが、アフガニスタンを抑圧と差別という比類なき人間の悲劇の深みに陥れているのである。

ターリバーンは組織的な陰謀によって政権に押し上げられたのだ。ターリバーンの暴虐によって、市民の最もささやかな抗議も銃弾で封じ込められる。虐げられた人々の叫びを聞いて、彼らの助けに駆けつける者はいない。ターリバーンは嘘をつき、自分たちが神の神聖な命令を実行していると主張する。アフガン国民には、彼らがどのようにして、かつどの国の支援を得て、権力へとたどりつき、国民の運命をもてあそぶ支配へと至ったかを知っている。

ターリバーンが犯した犯罪は、戦争犯罪や人権に対する深刻な犯罪として国際条約に明確に定義されている。アフガニスタンでは、ターリバーンの支配下において、以下のような犯罪が今まで集中的に遂行され、これからも続く。

 無実の人々の投獄:男性、女性、少女、少年を含む何千人もの普通の人々が投獄され、拷問され、射殺された。パンジシール、バグラーン、ファーリヤーブ、ジューズジャーン、サーレポル、ダーイクンディ、ガズニー、ヘラートの各州では、納得できる理由なしに若者たちが投獄された。彼らは、反ターリバーンの武装抵抗組織と関係があるかもしれないという口実で、誤った疑いや不当な告発により、組織的に拷問、嫌がらせを受け、殺されているのだ。

 反ターリバーン抵抗勢力に関係する家族、女性、子供、友人、親戚を拘置所に投獄し、非人道的な拷問を加えている。

 裁判や犯罪証明なしに、現場での処刑や射殺が行われてきた。人種的偏見、民族的憎悪、地元や地域との結びつきに基づいて捕らえられ、投獄された人々が多数。

 一夫多妻を口実とした若い少女への性的暴行。これらは強制結婚の形を取り、イスラーム法学による明確な規則とクルアーンの節の解釈によれば、名誉の侵害かつ不倫と定義される。強制結婚は全く許されないし、禁止されている。この犯罪行為の加害者は厳罰に処される。しかし、ターリバーン政権は、そのメンバーや支持者によって行われたこれらの犯罪について沈黙し、完全に無視し行為を否定している。

ターリバーンの諜報活動によって女性の命が物理的な危険にさらされている今、アフガニスタンの事例は世紀の悲劇以外の何物でもないことを、国際機関や外交の場は理解すべき時なのではないだろうか。

カーブル大学で4年間医学生だったエラハ・デラワル (Elaha Delawar)さんは、内務相の前議長であるサイード・コスティ(Saeed Khosti)から性的暴行を受けた。(訳注:2022年9月3日付トピックスコーナー『「これが最後の言葉かも」ターリバーン高官との“強制結婚”に“性暴力” アフガン女子大生の告発に波紋広がる』参照)彼女は強制結婚させられ、繰り返し拷問された。彼女は隠れ家からYouTubeにビデオクリップを公開し、その様子を公にした。彼女はアフガニスタンから安全な場所に移送される必要があり、国連の保証と保護のもとで自分の悲劇を語ることを許されるべきだ。そして、サイード・コスティは国際司法裁判所に引き渡されるべきだ。

民族浄化:パンジシール、バダフシャーン、タハール、サマンガーン、バルフ、ジューズジャーン各州の先住民は、家を明け渡すよう強制され、土地や財産を没収され、銃口を突きつけられて知らない土地へ強制退去させられている。ターリバーンは、そに空いた土地にパキスタンの南部や北西部から人々を移送し、住まわせている。(訳注:詳しくは末尾「付論」参照)

ターリバーンの有力者は、商業地や高級住宅地に目をつけ、人々の資産を安く買いたたいて強奪している。

ナチス・ヒトラーのように民族の対立を激化させる。貧乏人には払えないような重い罰金や税金を人々に課す。

アフガニスタンの中央部、ハザラ人やシーア派の人々が住む地域では、ターリバーンが彼らに血の代償と呼ばれる懲罰、つまり制裁金を強要している。家族の誰も過去にとがめられるべき事件を起こしていないのに。ターリバーンは100万アフガニか機関銃10丁を払わなければ、その地域から強制的に立ち退かせる。これは、民族浄化のあらたな残虐行為である。

アフガニスタン中央部の遊牧民と先住民の問題は、アシュラフ・ガニー政権時代に、パシュトゥーン系遊牧民を優遇し、民族的偏見を助長した一部の元議員の挑発により、毎年両者の間に死傷者を出す血生臭い紛争と化している。しかし、腐敗した政府は、遊牧民と先住民の牧草地の境界と使用権を決定することによって、この問題の公正な解決を図ることはなかった。そのため、旧政権の議会内、特に民族的えこひいきによる偏見を行使する権力者による挑発が絶え間なく行われた。

中央地域の遊牧民と先住民の問題を解決するために、紛争にかかわる両当事者が理解し、挑発の原因となる問題を取り除くような、公正な解決策を模索する必要がある。にもかかわらずターリバーンは、憎悪と差別の根源を穿り出し、深めることに貢献している。

ターリバーンは、パンジシールとバグラーンの両州民を脅して、無理矢理、抵抗勢力ゲリラに伝えさせようとした。降伏しターリバーン政権への抵抗をやめるようにと。これは、ばかげた愚かな要求だ。州民はどうすれば反対闘争をやめるよう抵抗勢力に要求できるというのか、犯罪者はターリバーンの方なのに。

10 ターリバーンは商店主やビジネスマンを誘拐し、警察署に監禁し、力づくで彼らから金を奪う。

11 野生動物のように、ターリバーンは夜間に理由もなく人々の家を襲い、人々のクローゼットやスーツケースを襲って中身を散らかし、部屋を荒し、宝石を盗み、人々を侮辱し殴る。

12 ターリバーン政権という病魔のもと、人々には免疫も安全な暮らしもない。人々のプライバシーは侵害されている。彼らは人々を呼び止めて強引に携帯電話を覗き、家族の写真を含むすべての個人情報を手に入れる。携帯電話に元軍人の家族写真を保存していただけで、幾度となく多くの人々が逮捕され、投獄された。ほとんどの場合、ターリバーンは携帯電話から、経済的に恵まれている友人や家族の個人情報を入手する。その後、ターリバーンは人々を追跡し、投獄し、力づくで金を奪うのだが、やり口はこうだ。彼らは、情報を得たこの裕福そうな人たちに夜な夜な電話をかけ続ける。君の友人や親戚、家族が交通事故で怪我をしたから、早く来てくれ、と電話するのだ。そして、その場所に駆けつけると監禁され、ターリバーンの餌食となってしまうのだ。

 

このような犯罪に対する人権団体の責務は何か?

人権団体はリストを作成するべきである。犯罪行為、性的暴行、不法殺害、拷問、嫌がらせ、強制移住の命令、民族的憎悪の扇動、民族的所属に基づく人々への脅しと圧力、戦争犯罪や囚人への非人道的扱い、それらを行ったターリバーンの漏れなきリストを。そして、ターリバーンの犯罪者を国際司法裁判所とアムネスティ・インターナショナルに引き渡す手配をするよう努力すべきである。ターリバーンの行為は、カーブルの悪名高いプリチャルヒ刑務所でのハフィズラー・アミン政権(Hafizullah Amin/訳注:1979年のPDPA政権)の殺人とレイプに類似している。そこでは人々の尊厳が傷つけられ、大量殺人が起こった。かの政権は、女性、男性、若者を日常業務として投獄していたのだ。

一部の政治家は、民族的・言語的傾向を理由にターリバーンの犯罪に対して沈黙している。彼らは如何にしてか、ターリバーンの行為を正当化し、はたまた見て見ぬ振りをしている。しかし、やるべきことはターリバーンの非人道的な行為とイデオロギーを暴露し、アフガニスタン国民を守る立場に一致団結し、身を置くことである。

【つづく】

 

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 付論 

ターリバーンによる民族浄化
by Fateh Sami

ターリバーン一派の98%は民族的にはパシュトゥーン人

現在、アフガニスタン北部のターリバーンは、民族浄化作戦に従事している。ターリバーンの戦争とは、過去、特に昨年観察された彼らの行動と振る舞いにかんがみると、北部および非パシュトゥーン人が歴史的、伝統的に居住している地方における民族戦争にほかならない。ターリバーンは、様々な形で民族浄化作戦の決行を試みている。目下彼らは非パシュトゥーン人が住んでいる場所を占拠し、自らの領域を拡大しようとしている。ターリバーンは、夜の間に家々を燃やし、幽霊の仕業と称している。そうやって人々の注意を野蛮な行為から逸らしているのだが、この作戦はパキスタンの軍統合情報局(ISI)の指示に基づいている。地元住民の家々を燃やすのに田舎の迷信を利用し、自らは破壊工作にノータッチであるとしているのだ。

非パシュトゥーン民族に対する差別は、民族、言語、宗教、政治思想・イデオロギー、政党への所属、居住地、地域ぐるみと多岐にわたる。ターリバーンにとっては、カーブルの北方に位置するパンジシール、バグラーン、パルヴァーン、カーピーサー、北部国境地帯のタハール、バダフシャーン、ジューズジャーン、ファーリヤーブ、加えてサマンガーンなどの各州の住民や、歴史的に非パシュトゥーン人が何千年も暮らし多数派をなす西部のヘラート、ゴール両州の住民が差別の対象である。彼らの土地や家は銃を突きつけられて奪われ、パキスタンのワジリスタンから来たパシュトゥーン人によって居場所を奪われている。

パキスタン傭兵である犯罪者ターリバーンからのアフガニスタン解放をめざす国民抵抗軍をその地域住民が支持しているので敵視されているのだ。これらの地域は、非パシュトゥーン系民族(注:タジク、ハザラ、ウズベク)で構成されており、その多くが国民抵抗戦線(NRF)を支持している。これらの地域の総人口は数百万人(訳注:2015年人口推計で約860万)で、全人口(訳注:2020年世界人口白書によると3890万)の20%強を占める。

(訳注:2015年推計人口内訳(単位:万人)
北部:パンジシール15、バグラーン90、パルヴァーン66、カーピーサー44
国境地域:タハール98、バダフシャーン95、ジューズジャーン54、ファーリヤーブ100、サマンガーン39
西部:ヘラート189、ゴール69        計859)

迷信という概念は、さまざまな信念や行動を包含しているが、そのほとんどは、たった一つの基本特性によって代表される。つまり、因果関係に対する間違った確信である。それを生み出すのが、無知、未知への恐れ、魔法や偶然への盲信、原因の見誤りである(メリアム-ウェブスターオンライン辞書)。

科学がますます優位を占める世界において、迷信や宗教的な考え方は、学問の分野ではつい後回しにされがちだ。しかしながら、迷信は多くの小規模な社会で中心的な役割を果たしており、大衆文化としては、まさにどんな社会も迷信の影響からは逃れられない。

だからこそ、現在、パキスタン人に導かれたターリバーンは、北部の人口構成における民族比率を逆転させ、自らの影響力を高め、その存在と占領に対する抵抗を阻止するために、迷信を利用しているのだ。

また、犯罪組織ターリバーンは、土地、果樹園、家屋を含む人々の財産を公然と没収している。このように、民族戦争の主な焦点は、パシュトゥーン部族ファシズムの継続と拡大であり、現在ターリバーンはそれを民族浄化の形で実行している。アフマド・マスードに指導されて、現在闘われているアフガニスタンの抵抗戦争は、ターリバーンに対する民族解放戦争なのである。

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