ファリダ・アハマディ(訳注)
グローバル・ハピネス・リーダー
欧州アフガニスタン難民組織外国委員会連盟メンバー

オスロ(ノルウェー) 2022年9月30日

(WAJ) イランでマーサ・アミニさんが殺害され抗議行動が全土に広がった。事件は収束せず暴動の形で継続している。アフガン難民としてノルウェーに在住し、難民問題を広く深く追及しているファリダ・アハマディさんから、自戒をこめたアドバイスのアピールが届いた。イランでの事件の詳細は→https://afghan.caravan.net/topics/#mahsa_protest

カブールとテヘランでハッシュタグを共有しているのは良いニュースです。(訳注:例えば#mahsaamini)また、ノルウェーでも、イラン人女性の闘いを支援するために、多くのデモが行われています。残念ながら、私はイラン政府や野党、モラルポリス(訳注:ヒジャブ着用などイスラーム法順守を取り締まるイランの警察)による暴力や武器の問題を非常に心配しています。また、野党は、自宅で武器や爆弾(火炎瓶)などを作る方法について、大量に宣伝・動員しています。兵器産業はこの紛争に大きな関心を寄せており、より多くの民族に兵器を売るために、より多くの混乱を作り出そうとしています。このような混乱は、民族間の争いを引き起こし、非常に良くないことです。

私はアフガニスタンの43年間の戦争の経験から、非暴力闘争を信じるようになりました。
アフガニスタンでは、武器や暴力によって平和を達成したり、より良い変化を望むことはできません。銃や暴力は、苦しみと国の破壊を生み出すだけです。私は、イラン人がアフガン人から、武器によってより良い社会を実現することはできないことを学んでほしいと思います。私の意見は、イラン人は、長年にわたって苦しんでいるアフガン人から学ぶべきだということです。

私は、ビジネスとして運営されているソーシャルメディアを通して、憎しみが広がっていることをとても心配しています。とても悲しいことです。

ソーシャル・メディアのクリップを見たのですが、ある女性がムッラー(訳注:イスラム法学者=僧)に対して話しかけたところ、その宗教家がこう言ったのです。「黙れ!  私はイスラム国家のために血の犠牲をはらってきた」。これは洗脳です。この男は「ヒジャブをかぶれと言っているのは私ではなく、神だ。これは神の掟であり、人間は神の掟に抗うことはできない。神こそが法なのだから」と言ったのです。

一方、女性も苦しみ、とても怒っています。社会人類学者として、私は彼女たちの考えや気持ちを理解していますし、一人の女性として、この体制をもう許せません。

アフガニスタンは、私の見解からすると、非常にわかりやすい例です。私たちの時代には、

1. 個人

2. 制度

3. 世界

の3つのレベルで、新しいガンディー(訳注:インドの非暴力指導者)、あるいは多くの「ガンディー」が必要です。グローバルに。私たちは、実行力を持つ新しい連合国家を持つ必要があります。私は、さまざまな紛争を通じて世界を統治する、冷笑的な兵器産業のない世界のために奮闘しましょう。

 

 WAJ 

(訳注)ファリダ・アフマディ(Farida Ahmadi)さん略歴
1957年3月、カーブルうまれ。カーブル大学で医学を学ぶ。カーブルで2度投獄され、4カ月にわたって拷問を受けた。1982年に釈放されアフガニスタン郡部で抵抗運動に参加、同年12月にパリのソルボンヌでラッセル平和財団(戦争犯罪法廷)の活動に参加。1983年に世界中を旅して自身の投獄や拷問の経験、ソ連独裁や原理主義との戦い、女性解放運動について訴え、レーガン大統領、サッチャー首相、ローマ教皇をはじめとする権力者や団体と面会してアフガニスタンの民主化勢力への支援を求めた。1983年末に帰国し、イランやパキスタンを訪問。1991年に当時5カ月だった娘とパキスタン経由でノルウェーへ亡命し難民として生活しながらオスロ大学で人類学を学ぶ。そこでの修士論文をもとに『声なき叫び(Silent screams)』(石谷尚子訳、花伝社、2020年)を執筆。(経歴は同書より)

 

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ファリダ・アハマディさんの著作『声なき叫び(SilentScreams)』については下記をご参照ください。
難民・移民の「痛み」はどこから来る?

※ 2022年1月23日からノルウェーの首都オスロで行われたターリバーンと欧米各国との対面協議についての、ファリダ・アハマディさんの談話は下記をご参照ください。
オスロでのターリバーンとの協議についての私の意見

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