(WAJ:ドーハ会談、米NATO軍の撤退、ターリバーンの復権、ザワヒリの殺害、ハッジ・バシールの帰還、援助資金のターリバーンへの送金・・・。表面的な対立の陰でアメリカのターリバーンとの駆け引きが続いている。ドーハ合意書には公表されていない秘密協定が多数存在する。現在も継続して続けられているドーハでの交渉はその履行をめぐるものであろう。アフガニスタンの未来にとってそれは決して明るいものではない。)

 

Hasdht-E Subh デイリー 2022年10月10日

ドーハ会談は、米国の政策立案者が当時のアフガン政府に失望して実施された。訳注:ターリバーンとアメリカ合衆国間でドーハで実施され2020年2月29日に調印された。

アナリストは、あの会談には主軸と副軸があることを最初から知っていた。主軸は、ターリバーンが米国の領域内請負業者の1つになることを約束し、米国の利益を保証するかぎり、この集団がアフガニスタン政府に取って代わり、米国の援助を受けるというものだった。副軸は、ターリバーンをテロ集団のレベルから正当な政府のレベルに引き上げるためには、ある種の包摂的な政府に組み入れねばならないという主張で、そう言いつのった結果、米国はこの集団との協力を正当化させることができた。

包摂的な政府というものがアメリカ側の主軸ではないことを認識したターリバーンは、権力の座についた後、この副軸的任務を重視せず、主軸的任務に焦点を絞った。つまり他のテロ集団との関係を再構築し、内部の反逆分子を排除して、残りの仲間を長期の目標に向かって束ね上げた。アイマン・アル=ザワヒリを始め多くのアル=カーイダ指導者の隠れ場所を明らかにし、国のさまざまな地域で多数のサラフィー活動家(訳注:初期イスラムの時代(サラフ)を模範とし、それに回帰すべきであるとするイスラム教スンナ派の思想。穏健的な傾向から過激な潮流まである)を殺害したことも、この協力の一環だった。

ドーハでの最近の交渉で、ターリバーンは 1 年間におよぶ作戦の報告書を CIA に提出し、彼らが機械的任務を粛々とこなしたことを説明した。遅かれ早かれ、ターリバーンはイラン、ロシア、中国との歪んだ関係により、これらの国々に害を及ぼす時が来るだろう。英語で言うfooling(欺瞞)作戦である。ターリバーンは、長期的に米国の信頼を勝ち取ることができれば、代理戦争の燃料となるナイーブな外国人戦闘員をかき集めて、国内のライバルを粉砕でき、パキスタンが40年前に始めた事業(訳注:アメリカの戦争代理業)の片棒を担えると信じている。パキスタンは、ターリバーンの策略が自国の方針と調和するなら、この非公式な協力関係に異議をとなえない。バジュワの米国訪問(訳注:11月中に退役するパキスタン陸軍のバジュワ将軍が、10月4日、米国を訪れた)もこの方向でなされた。

もちろん、アメリカは包摂的な政府を形成する必要性を繰り返し主張し続けている。そのため米国の政策立案者に向けられる、自国の世論、特に人権団体や女性の権利団体からの非難の声は弱まってしまう。テロ集団との協力は、民主主義制度の表向きの価値観に反し、この集団によって殺害された何千人もの兵士の血への裏切りと見なされるのだが、お構いなしだ。またターリバーンの指導者に向けられる、その構成員からの非難の声も弱まってしまう。強国の占領に対する敵意に基づき、20年間も破壊的な戦争を続けた挙げ句、その強国が戦争を合法化してくれたからといって協力する。そのていたらくは、イデオロギー戦士たちの目から見れば、この集団を解放組織からCIAの傭兵へと堕落させることになるのだが、お構いなしである。

反人権と反イデオロギー。この 2 つの暴挙は決して見過ごせないと、双方がスローガンやマスコミ発表のレベルで互いに批判し合う。ところが、これらのドラマチックな批判合戦が目くらましとなり、さほど言い訳することなく、両者は他の敵対国に向けて例のfooling作戦を首尾よく進める。もちろん、アメリカから数十億ドルを受け取り、財政基盤を強化した後、ターリバーンはこれら敵対国へと進出するが、残る予算は政治家の中でもバカ(fool)への給金となって消える。このままでは、アフガニスタンは長い間血みどろの紛争の場であり続け、エリートたちは追放され、将来の世代は恐ろしい悪夢に苦しむこと必定である。

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【原文(英語)を読む】↓

Cooperation Between the Taliban and the CIA


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