Terrorism Threatens the Entire Region
By Hasht-E Subh Daily (アフガニスタンの独立系ジャーナル)
2022年10月15日
最近では、周辺諸国が、たとえターリバーンの支持者であっても、アフガン情勢を懸念している。
パキスタンのシャバズ・シャリフ首相は国連総会で、アフガニスタンで徴兵と体制固めを進めているテロリスト集団の脅威について懸念を表明した。また昨日(14日)、タジキスタンのエモマリ・ラフモン大統領は、アフガニスタンでは何万人ものテロリストや自爆テロ犯が訓練されていると述べた。上海協力機構(訳注:中国、ロシア、カザフスタン、キルギス、タジキスタン、ウズベキスタン、インド、パキスタンの8カ国による多国間協力組織)の加盟国も、昨日タジキスタンで行われたアジア相互協力醸成措置(訳注:アフガニスタンも含む28カ国による多国間協力組織で、上海協力機構の全加盟国が参加している)の第6回会議で、アフガニスタンを起点に生じるテロの脅威と共同で戦うと声明した。この1年間、ロシア、ウズベキスタン、中国、カザフスタンも上海協力機構を含む様々なルートを通じて、アフガニスタンの現状に懸念を表明してきた。
(参考記事:国連総会でのシャリフ首相の演説とアフガニスタンの反応
https://tolonews.com/afghanistan-179994
https://economictimes.indiatimes.com/news/new-updates/pakistan-pm-shehbaz-sharifs-un-speech-leaves-afghanistan-furious/articleshow/94432904.cms
:ラフモン大統領の発言
https://www.khaama.com/tajik-president-says-thousands-of-suicide-bombers-trained-in-afghanistan-73455/
しかし、周辺諸国は同じような懸念を表明するだけで、テロへの対処に協調的行動はとらず、中には複雑に絡み合った領域内のテロネットワークの支部組織に協力する国さえある。領域内の争いや国境問題があるため、テロの定義に共通性がなく、あるグループはある国にとってはテロリストだが、別の国にとっては戦略資源であったりする。また、あるグループが、ある国からはテロリストや分離主義者と呼ばれても、隣国からはテロリストや分離主義者を凝らす解放軍や正規軍と見られることもある。
昨日のアジア相互協力醸成措置会議の席で、テロ及び分離主義と戦うために、上海協力機構による「領域内反テロ構造」のかけ声のもと、パキスタンとインドが、同機構の他の加盟国とも手を取り合い、協力することを誓約した。
しかし、カシミール地方やバルチスタン地方で両国が互いに民兵や分離主義勢力を支援し、パキスタンがアフガニスタンのターリバーンや領域内の多くのテロ組織と強い関係を持つことが知られている状況では、このような約束は意味がない。
上海協力機構は、設立以来、安全保障上の協力と分離主義との戦いをプログラムの最上位に掲げているが、この領域の安全確保と過激派やテロとの戦いについて目立った対策はとっておらず、何度か首脳会談を開き、コミュニケを発表し、軍事演習を実施しただけだ。
(参考記事:上海協力機構による軍事演習
https://www.tokyo-np.co.jp/article/132936)
この領域で長年にわたって会議を開き、国際平和の推進を目標のひとつとしているもうひとつの国際組織が、イスラム協力機構(訳注:世界57カ国のムスリム国家が加盟する国際機構)である。この組織は基本的に、広範囲にわたる理論的、宣伝的、政治的活動を行うためのもので、テロリストや過激派の脅威からイスラム諸国の平和を確保しようと、もったいぶった演説や会議を繰り返すが、効果のないままである。
昨年、ターリバーンが政権を握った後にイスラマバードで開かれたこの組織の臨時総会は、集団的・組織的行動をとれないことを示す良い例であった。イスラム諸国数十カ国の代表が参加したその会議では、組織の加盟国は具体的な決定をくださず、責任ある行動は何らとられなかった。しかし、そこでも西側諸国の代表や援助団体には目が向けられ、最終的には人道問題担当事務次長兼緊急援助調整官のマーティン・グリフィスが、世界に対し、実際には西側世界に対し、アフガニスタンへの45億ドルの人道支援を要請するに終わった。
創設から40年が近づき、南アジア諸国間の経済・政治協力の発展を使命とするSAARC(南アジア地域協力連合)もまた、受動的で非効率的な機関である。この組織は、貿易・投資の促進や国境開放においてまだ目覚ましい成果を上げておらず、加盟国間の政治的相違の解決においても記憶に残るようなイニシアティブをとってはいない。
現在のアフガニスタンの危機は、この国の内部事情だけがもたらしたものではない。この危機は領域の実勢がもたらしたものである。中央アジア、中国、パキスタン、中東、北アフリカのテロ組織が、いまやアフガニスタンに展開しているが、それらはアフガニスタンの紛争と後進性のゆえに誕生した組織ではない。これらのグループとの戦いは、領域的、国際的使命である。これらの組織を生み出しその標的となっている国々は、私たちの社会が崩壊し、アフガン国民が徐々に死んでいくのを見守っていてはならない。私たちの惨状は、この領域全体に根付いた危機が重圧となった結果なのだ。懸念の表明や中途半端な関わりではうまくいかない。集団的な行動をとらなければ、この危機は近いうちにアフガン国境を越えて溢れ出してしまう。
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