The Influence of World Powers on the Taliban

<Editorial>
By Hasht-E Subh Daily Last updated Nov 5, 2022

<社説>
ハシュテ・スブ(午前8時)・デイリー(アフガニスタンの独立系メディア)2022年11月5日

 

<リード>
ドーハ会談の最中、ターリバーンを支援するため地域的なキャンペーンが行われていた。

<本文>
米軍とその同盟国軍がアフガニスタンに駐留しているあいだ、ターリバーンを支援する周辺地域の国々は、自分たちのライバルである米英らを屈服させ、アフガニスタンにポスト・アメリカ時代を招来できると思っていた。アメリカ軍の最終撤退に際し、ロシアやイランはターリバーン代表団を両手をさらに広げて迎え入れる素振りを見せ、ターリバーンに新しい装いをさせようと懸命になった。この点では、アメリカと周辺諸国の間に奇妙な一致が見られた。どの国もアフガニスタンの世論形成に重要な役割を果たし、その結果ターリバーンの復帰が促進されたのだ。

大国(米・露・中国)とイランはそれぞれモスクワとテヘランにターリバーンとその反対派の両者を呼び寄せた(訳注:前者は去年3月、米・露・中国・パキスタンの4か国が会議を招集した。後者はイラン単独で去年7月招集)。どちらの会議も、アフガン政界でターリバーンを有利にする働きかけだった。ターリバーンがカーブルに再登場した数日間、撤退するアメリカ軍とその同盟たるアフガン国軍および多国籍軍の屈辱的な姿が知れ渡り、周辺諸国には喝采の叫びが聞こえた。しかし、この祝賀の声は持続しなかった。1年と数カ月が経過した今、周辺諸国の大国はアフガニスタンの状況に対して抗議の声を募らせている。かつては米国の撤退を祝賀してい国々が、いまや米国のアフガン政治への介入に懸念を表明している。

 

訳注:参考記事:モスクワ会談(去年3月)
https://www.aa.com.tr/en/asia-pacific/afghan-team-off-to-moscow-for-multilateral-conference/2179259
https://www.reuters.com/world/china/russia-hopes-progress-us-joins-afghan-peace-talks-moscow-2021-03-18/
:テヘラン会談(去年7月)
https://www.aljazeera.com/news/2021/7/8/afghan-govt-delegation-meets-taliban-in-iran

昨年は「モスクワ諮問方式」(訳注:2017年に発足、露・中・印・パ・イラン・アフガニスタンの特別代表が集い、翌年からは旧ソ連の中央アジア5か国も参加)の会議にターリバーン代表を招いたロシアだが、今年の会議(11月16日予定)はターリバーン代表抜きで開催すると発表した。そればかりか、領域内の大国やアフガニスタンの近隣諸国がアフガンの国内情勢を評価するはずの領域会議を目前にして、モスクワからは明確な反ターリバーンのメッセージが聞こえている。ロシア連邦国家安全保障会議のニコライ・パトルシェフ書記は、ターリバーン、アルカイダ、ISKPは、アメリカが作ったものだと述べ、その目的はこの領域における自国の政治目標に向かってつき進むためだとした。アメリカ軍の撤退後、ロシアはターリバーンをアルカイダやISKPと並び称さぬよう努力し、「過激派」を追い出せ!とターリバーンを激励したのだから、手のひら返しである。

モスクワは、ターリバーンに対して公にこのような立場をとるまでになった。ターリバーンの戦いがピークに達していた数年間は、ロシアによる同集団への資金的・軍事的支援が何度もメディアで取り上げられたものである。ターリバーンがアフガニスタンを占領した当初、モスクワはターリバーンへの協力を強く奨励した。しかし、今やモスクワも中国もイランも、ターリバーンを支援しコントロールするのに必要な手段を持っていない。

米国はこれまでアフガン政治を独占し続けることができたが、その手段は多方面に及ぶ。まずアフガニスタンの外貨準備を凍結する一方で、4000万ドルの現金を送るなどの金融支援を続ける。軍事的には無人機でパトロールしてアフガニスタンの制空権を握る。そしてドーハ協定というカードを使う。外では国連などの国際機関を牛耳り、内ではターリバーンの反対派に物申す。そうすることで、アフガン政治における抵抗勢力の活躍の場も狭める。数十億ドル相当の武器・弾薬・機械類をアフガニスタンに残したのも、ターリバーンにとっては重大問題だ。それを捨てれば武装解除となり、維持するにはアメリカおよびその同盟国からの助言、連携、資金が必要になる。

ターリバーンにとって反米的な動きは重大な結果をもたらす。つまり、指導者たちの生命、財産、資産を犠牲にすることとなる。シラージュッディン・ハッカーニ(Sirajuddin Haqqani/訳注:ターリバーンの第一副指導者)のような人物は、アメリカの情けなしにカーブルで堂々と生活することはできない。

ターリバーンは、ロシアを含む様々な国からの支援と金銭に恵まれてきたため、今では外国の支援なしには生き残れない。より多くの金を与え、より強い圧力をかけることができ、アフガン政治を動かす具体的な手段を持っている国が、ターリバーンを操り、必要となれば彼らを煽って敵に差し向ける。アメリカ以外にどの国がそんな立ち位置にあるか? ロシアが恐れるのはもっともである。

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