Solutions to Hunger Crisis
By Hasht-E Subh Daily Last updated Nov 15, 2022
ハシュテ・スブ・デイリー社説(2022年11月15日)
(WAJ)アフガニスタンでは厳しい冬の寒さと干ばつや地震などの天災だけでなく、それ以上に、人為的な不作為による飢えによって国家的存亡の危機に見舞われている。にもかかわらず、多くの人々は国にとどまり闘っている。彼らの支えは、人知に対する信頼である。かつて日本は、西洋の圧倒的な抑圧力に抗して文明化を成し遂げ、非西洋の憧れの的となり彼らに自信を与えた。植民地争奪戦として始まった第2次世界大戦に遅れてきた帝国主義として参戦し惨敗した日本だったが、その世界大戦は植民地諸国の独立の機運を生み出すきっかけともなった。いまは非西洋第三諸国のロールモデルの役回りを中国が果たしている。ハシュテ・スブのこの主張は、アメリカが掲げる「自由と民主主義」の旗の色が世界的になぜあせているのか、そのことをよく表しているといえる。一度は抑圧された諸国民の目標となったことのある日本がなぜ、落ちた偶像となってしまったのか、考える素材を提供しているのではないだろうか。
<リード>
アフガン新紙幣の印刷、アフガニスタンへのドルの週次送金の加速、麻薬収入の増加、自治体や税関の収入の増加などのニュースの一方、新たな飢餓の危機が高まり、数百万人の命が危険にさらされるという警告が出されている。
<本文>
国際機関は、深刻な飢餓に襲われている弱者数について、恐ろしい統計を発表している。米国のアフガニスタン復興特別監察官(SIGAR)は、アフガニスタンでは推定1900万人もが食糧不安の危機に直面していると発表している。都市や村落の住民の生活について日々発表される画像やニュースからも、深刻な人道的危機がうかがえる。ほとんどの家庭で、乾パンとお茶の3食を食卓に並べることができない。
一方、タリバン政権内では、少数の有力者とその近親者たちが優遇されている。彼らはドルの束を数え、関税収入のグラフを追い、税率を上げ、店主、行商人、露店商から金を徴収する。中には億単位の収入を持つ者もいて、鉱物の売却や恐喝、密輸、麻薬などで金を貯め、新しい家を買い、多くの妻を得、豪華なパーティーを開いている。
ありえな仮定ではあるが、もしターリバーンが、その金額を手放したとしても、国民の生活環境に変化は起きないだろう。なぜなら、このグループは福祉社会に向かう機関車のスイッチを切ってしまったからだ。閉ざされた社会では、動きがなく、多くの政治的制約に直面し、内部の能力を培うことも、イニシアチブをとることも、希望を持つことも、投資をすることもできない。そのような社会は、巨額の資金を注入しても、経済発展や繁栄は起こらず、せいぜい飢餓を数日先送りする程度のことにしかならない。
ターリバーンの中には、自由と繁栄は関係ないとメディアで主張し、一党独裁・非民主主義で空前の経済成長を遂げた中国を引き合いに出し、ターリバーンの非選挙指導と権威主義体制のもとでもアフガニスタンは発展できると主張する人物もいる。彼らは、中国の経済成長が、この国の社会的・文化的自由の産物であることを知らない。第二次世界大戦後、中国共産党は女性に対する文化的制約や運命論など、社会の流動性を阻害する社会的制約に対して何年も戦い、今ではターリバーンメンバーや一部の歴史家が過激と呼ぶような行動さえとっている。中国の支配者たちは、人間の知識と経験を社会の進歩と改善の最も重要な手段と宣言し、教育を権利というだけでなく、社会的責任と呼んだ。したがって、中国の経済的進歩と人民の福祉は、専制政治の結果ではなく、社会的自由の産物である。中国の権力は宿命論に由来するものではなく、経験主義と学校・大学への尊敬の念の賜物である。中国人はまた貧しく、内部の緊張に苦しみ、外国の侵略にさらされ、煩雑な伝統にとらわれていた。女性への敵意、教育機関の踏みにじり、神権政治の押しつけによって、それらの緊張、侵略、トラブルから救われたわけではなかったが、政治的暴虐の陰に隠れても英知のページをめくり獲得した知識によって、科学の分野で人類史の奇跡の一つを成し遂げ、経済を創造することができたのである。
科学的信念がなければ、また社会的自由がなければ、繁栄はありえない。祈りと運命論と反科学的ビジョンによって、ある国が飢餓から救われ、力を得たということは、聞いたことがない。しかし、政治的自由がなく、選挙で選ばれた政府がない場合でも、科学的信念と社会的自由が豊かさと経済成長を引き起こすことは、これまでにもたくさん見られてきた事実だ。
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