Chinese Hotel Attack in Kabul: Terror Groups Assume Taliban Snatched the Common Cause
By Hasht-E Subh Daily On Dec 13, 2022
ハシュテ・スブ・デイリー 2022年12月13日
Written by Amin Kawa | Translated by English Team
アミン・カワ/翻訳・英語チーム
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中国大使がターリバーンに対し在カーブル中国大使館と外交官たちの安全に留意するよう要請した翌日、アフガニスタンの首都で中国市民が滞在しているホテルが攻撃を受けた。報道によると、この攻撃の結果、3名が死亡し18名が負傷した。3時間の銃撃戦の後、ターリバーンは死亡した3名がみな襲撃犯だったと発表し、市民の犠牲者はいないと付け加えた。
それに先立ち、カーブルのパキスタン大使館(12月3日に)とロシア大使館(9月5日に)も攻撃された。アフガニスタンの元諜報長官ラーマトゥラー・ナビル(Rahmatullah Nabil)は、これは中央アジアを本拠とするテロ集団がターリバーンから提携関係を断ち切られた結果であると示唆した。彼によると「アフガニスタンで戦略的縦深性(訳注:前線で攻撃を受けてもその中枢は深い位置にあり、攻撃しがたいこと)を獲得したのは過激派テロ集団で、領域諸国ではない。」
<本文>
昨日(12月12日月曜)午後2時30分ころ、3名の武装した犯人がカーブルの繁華街シャーレナウにあるホテル型ゲストハウスの1軒を襲撃した。報道によると、このゲストハウスには中国市民が多数投宿していた。
カーブルの救急病院は3名が死亡し18名が負傷したとツイートした。ターリバーンの報道官、ザビフラー・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)は衝突の数時間後に、死亡した3名はみな襲撃犯だったとツイートした。さらに「カーブルのホテルへの攻撃は犯人3名の死をもって収束した」とムジャヒドは付け足した。
ソーシャルメディアで広まった動画では、建物から煙が出るのが見え、内部から複数の銃声が聞こえる。目撃者がこの出来事に関しハシュテ・スブに確証したところによると、ターリバーンのヘリもホテルの上空を飛んでいた。多くの目撃者はこの攻撃における爆破の強烈さを伝えている。彼らによると、爆発後に敷地内から複数の銃声が聞こえた。抗争現場の近くにある家々の写真もソーシャルメディアに上げられているが、それを見ると近隣の建物のほとんどが損傷している。
ザビフラー・ムジャヒドはその名に触れなかったが、この攻撃による犠牲者にアフガン市民でアミンという名の若者がいる。アミンは昨日のカーブルのホテルへのテロ攻撃で死亡した。アミンの友人によると、彼は中国への留学生だったが、アフガニスタンがターリバーンの手に落ちた後は出国できず、そのためカーブルで中国人客を相手に働いていた。
一方、日曜日(12月11日)に駐カーブル中国大使の王愚は、ターリバーンの副外相で政治家のシェール・モハンマド・アッバス・スタニクザイ(Sher Mohammad Abbas Stanikzai)と会談し、大使館とアフガニスタンに滞在する中国市民の安全に関して懸念を表明した。この会談で大使はカーブルにある中国大使館の安全に留意するようターリバーンに要請した。ターリバーン統治下のバフタール・ニュース・エージェンシー(訳注:1939年に創設されたアフガン国営報道機関で今はターリバーン側につく)によると話は逆で、ターリバーンの役人の言葉としてだが、会談中アフガニスタンにおける安全の向上に関して中国大使は満足の旨を表明したとされる。
しかしながら、アフガニスタンの国家安全保障局(NDS)の元長官ラーマトゥラー・ナビルはハシュテ・スブにこう語った、「領域内のテロ集団はターリバーンに裏切られ、提携関係を断ち切られたと見なしている。」今後こうしたテロ集団はアフガニスタンでISKP(イスラム国ホラサン州)と協力するか、ISKPの名前を借り、一致団結して目標の達成に向かい奮闘することになるとナビル氏は付け加えた。「領域諸国にとって状況はより悪化すると思う」と彼は述べた。
「アフガニスタンで戦略的縦深性を獲得したのはテロリストたちであって、決して自分たちではないと、こうした国々はすぐ結論することになる」と元NDS長官は注釈した。
また、南アジアにおけるアムネスティーインターナショナルの係官の一人サミラ・ハミディ(Samira Hamidi)は、外国市民の死者はいないと語ったターリバーン報道官ザビフラー・ムジャヒドのツイートをシェアし、外国人をなだめる戦術だと看破した。「こうでもしないと、外国人は喜ばない」と彼女はツイートした。
「20年間も、人々は西側のスパイだと呼ばれて虐殺された。それが今はこれら外国人の召使いになった。人々を守れないこと、救急搬送された21名の血が無駄に流されたことをターリバーンは恥じ入らねばならない。自爆犯はどうあがいても自爆犯でしかない」と。
駐カーブル パキスタン大使への銃撃
パキスタンはターリバーンにとって鍵となる同盟国の一つである。過去20年間に渡り、財政・兵站・諜報・軍事において広範囲にターリバーンを援助してきたとして非難されている。アフガニスタンに外国軍が駐留していた時期は、ターリバーンの指導者たちや戦闘員たちがパキスタンに避難場所を求め、パキスタン軍によって支援された。
カーブルでの中国市民への攻撃に先立ち、駐カーブル パキスタン大使のオバイド・ウルレーマン・ニザマニ(Obaid ul-Rehman Nizamani)は大使館敷地内を散歩中に銃で襲われた。彼に外傷は無かったが、護衛の一人が負傷した。パキスタン政府はカーブルにあるパキスタン大使館の安全を保つようターリバーンに要請した。アフガニスタンにおけるパキスタンの特別代表モハンマド・サディク(Mohammad Sadiq)は、カーブルにあるパキスタン大使館の安全は確保されるべきだと語った。ISKPがこの攻撃を行ったと発表している。
後日、ターリバーンの報道官ザビフラー・ムジャヒドはツイートし、カーブルにあるパキスタン大使館における銃撃事件の犯人はすでに逮捕されていると伝えた。
参考記事 https://apnews.com/article/afghanistan-islamic-state-group-shootings-pakistan-south-asia-05896f1f1710c66d638e0bb515c23bab
カーブルにあるロシア大使館への自爆テロ攻撃
2021年8月以降も、ロシアはカーブルの大使館を機能させ、ターリバーンと相互に関係した。モスクワにあるアフガン大使館にターリバーンの外交官を受け入れ、この集団に大使館を手渡した。こうした楽観主義とターリバーンとの相互関係にも関わらず、この国の大使館は致命的な自爆テロの現場となった。
この国の大使館への攻撃によって、ロシア人外交官2名が殺された。ロシア人外交官の殺害に加え、学生およびビジネスマンが主体となる20名以上が、殺され傷つけられた。この自爆テロはロシア国内でも外国においても広く反発を招いた。米国を含む西側諸国がこの攻撃を非難した。
参考記事 https://mainichi.jp/english/articles/20220905/p2g/00m/0in/056000c
ターリバーンの戦略的同盟国たるこれら3か国を標的にしたもの以外にも、過去数か月の間に、何件かの攻撃がなされ、数十名単位で人々が殺され傷つけられた。総数で言うと、テロ攻撃で殺されたのは100名ほど、傷つけられたのは150名を超える。
ヒズベ・イスラミ事務所への攻撃
ヒズベ・イスラミ(訳注:1976年ころ誕生した反政府武装組織)のリーダー、グルブッディン・ヘクマティアール(Gulbuddin Hekmatyar/訳注:ヒズベ・イスラミの創設者で1990年代に2度首相を務めたベテラン政治家)がカーブルの事務所で金曜礼拝をしていたとき攻撃され、護衛2名が負傷した(訳注:3名のテロリストが内部にモスクを持つ事務所ビルの外で乗っていた車両を爆発させ事務所への突入を試みたが、そのうち2名は殺され1名は後に逮捕された)。しかしヘクマティアール本人への危害は無かった。1週間後、ヒズベ・イスラミのリーダーは党員に「次なるジハード(聖戦)」を準備せよと命令したが、誰に対しての「ジハード」かは明言しなかった。
参考記事 https://www.voanews.com/a/attack-near-ex-afghan-pm-hekmatyar-s-office-injures-two-his-party-says/6859549.html
サマンガーン州でジハード団の学校を爆破
ターリバーンは市民に安全を提供できていないばかりか、宗教施設にも安全を提供できていない。10日ほど前(11月30日)、サマンガーンの州都アイバクでジハード団(訳注:1998年アル=ザワヒリがビン=ラーディンらと共に結成したユダヤ・十字軍に対するジハードのための世界イスラム戦線)の宗教学校(マドラサ)が爆破されて死者を出し、犠牲者の数は数十名にも上った。UNAMA(国連アフガニスタン支援ミッション)の発表では、少なくとも死者19名、負傷者23名とのことだ。(訳注:後の報道では犠牲者の数が、少なくとも死者35名、負傷者23名と増加している。また犠牲者のほとんどが学生で、実行犯は名乗りを上げていない。)
参考記事https://8am.media/eng/blast-in-samangans-al-jihad-madrassa-leaves-35-killed-dozens-injured/
一方、タジキスタンの首都ドゥシャンベで先月末開かれたヘラート安全保障対話に招かれたゲストや発表者は、アフガニスタンにおける現状の継続に関して懸念を表明した。この会議で、タジキスタンの外務副大臣ファルハド・サリム(Farhad Salim)はアフガニスタンにおけるテロ活動の増加に懸念を表明し、アフガニスタンでは包括的政府の形成が必要だと強調した。
パキスタンの「アワーミー国民」党の党首アフラシアブ・カタック(Afrasiab Khattak)はアフガニスタンが強国間の戦略的競争の舞台になってしまったと述べた。彼はターリバーンは永続しないと強調した。彼によると、その理由は彼らが「過激かつ原始的で」統治能力を持たないからだと言う。
しかしながら、ターリバーンに国を支配するのに必要な管理能力も知識も無いと信じる政治家の面々や市民たちは、いまターリバーンがアフガニスタンを戦略的競争つまりより大きな戦争へと実際に導いていることを心から心配している。そうした政治家や市民によると、ターリバーンと同盟関係を結んだ国々すらも、この集団には自国に対して義務を果たす能力が無いことを経験によって理解したはずだと言う。