Nieuwe Rotterdamse Courant
ニュー ロッテルダム クーラント
2023年1月1日

人権に関する世界宣言は、アフガン社会では実体のない空っぽだ、とソマイア・ラミッシュは結論づけている。

ソマイア・ラミッシュ(Somaia Ramish)

(WAJ)ソマイア・ラミッシュさんはヘラート出身の女性権利活動家、元ヘラート州議員。詩人・文学者・アーチスト。カーブルが陥落した日、ヘラートからオランダへ身を移し活動を継続している。本サイトには次の詩、およびアピールを寄せている。
「ガニーを逮捕せよ/Interpol Arrest Ghani」
「アフガン女性への抑圧をやめよ!」
「ヒジャブ着用命令の義務化に反対」

フェイスブックアドレスはhttps://www.facebook.com/somaia.ramish

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カーブル陥落から 1年後の2022年8月16 日、原理主義政権の旗を掲げるタリバン支持者。(写真:アリ・カラ)(本記事を報道する『ニュー ロッテルダム クーラント』の紙面

アフガン女性にたいする大学就学禁止は、ターリバーンによる2022年最後のテロ行為となりました。大学の門の外には、戦車や軍用トラックで武装したターリバーンの戦闘員がやってきて、女子学生から教育を奪い、女性講師や教授から仕事を奪いました。ターリバーンは領土の奪い合いをやっているだけではありません。アフガニスタン内戦の戦線は内なる意識と知識の争奪戦に移ってきています。アフガニスタンは今まさに全体主義的な軍事国家となりました。

女性に対するこのような最新のテロ行為は国際的に報道されました。しかし、女性に対する内戦はずっと続いているのです。2021年に復権したターリバーンの支配下で、女性は日々多くの制限に直面しています。

1年半の間に、ターリバーンは女性に対する法令を何十も発布しました。その中には、女性解放運動事務所の解散、ヒジャブの義務化、6年生以上の女子校の閉鎖、すべてのスポーツクラブ、化粧室、銭湯の閉鎖などの命令が含まれていました。女性は働くことも、授業を受けることも、社会的・政治的活動に従事することも禁止されました。女性は奨学金を受けられなくなり、一人で旅行することも許されず、タクシーに乗るにも家族の同伴が必要です。また、ターリバーン政権によって女性は拷問を受け、この身体的暴力は(ソーシャル)メディアを通じて組織的に拡散されます。

よく知られているように、ターリバーンの世界観では、女性は完全な人間ではないのです。現ターリバーンの高等教育大臣が言うように、”女性は教育を口実に売春に従事している”のです。これは、ターリバーンの文化的背景そのものを物語っています。彼らの正統派デオバンディ派やハッカーニ・ネットワークでは、家庭の外に出る女性の定義は「淫乱な女、つまり売春婦」です。

その結果、女性に対する扱いは現代の奴隷制のような形になってしまっています。ターリバーンの支配下では、女性は死んだように生きなければなりません。

教育内容の修正
大学入学禁止はターリバーンが2022年に行った最後の行動かもしれませんが、女性教育の禁止は最初のステップに過ぎません。次のステップは、教育そのもの修正です。教育書の内容はターリバーンのイデオロギーに合わせられ、特定の(科学的な)トピックは消え、本は禁止され、ジハード、戦争、流血、暴力を促進する宗教書に取って代わられるでしょう。女性の社会的役割に関する言及はすべて排除され、新しい世代はターリバーンが作り出した女性のイメージしか与えられなくなるのです。

ターリバーンはすでに学校や大学を宗教施設に変え始めており、学生に殺人を奨励したり、自爆テロリストになるよう訓練したり、過激主義の指導を進めています。

ターリバーンは専門の教師を任命していません。非識字者でも、アフガニスタンの教育システムを通じて、爆弾テロ、自爆テロ、テロに関する専門知識を広めることができるようになったのです。これはターリバーンの新兵の無尽蔵の供給源になりつつあります。

アフガニスタンの最大の問題は、もはや誰もが憤っている女性の権利の撤廃ではなく、残っているどんな組織においてもターリバーンの考えが横行することを許していることだ。また、もはや最大の問題は、国際社会がアフガニスタンの4000万人の住民をテロリスト集団に引き渡してしまったことではなく、国際的な代表者がターリバーンと交渉して現状を変えようとしても、ターリバーンの考え方を全体として否定することなしには実を結ばないということでしょう。

イリュージョン
国内外のロビイストは、ターリバーンと対話することが可能であるという幻想を、何年もかけて世界に売り込もうとしてきました。アフガニスタンの一部の指導者の態度も、残念ながらこれに拍車をかけています。彼らは、自らの民族ナショナリズムの概念に基づき、ターリバーンに媚を売り続けることで、アフガニスタンにおける自らの民族覇権を維持することの方が重要だと考えたのです。その結果、そしてターリバーン自身による20年にわたる継続的な好戦のおかげで、そのようなアフガン指導者たちは最終的に、2020年に米国とターリバーンとの間のいわゆるドーハ合意の進行を手助けしてしまったのです。

残念ながら、国際社会もターリバーンとの協調を求め続けています。まるでターリバーンの素顔がまだ十分に明らかになっていないかのように。ターリバーンは、外国の援助団体にたいして女性の排除を要求することさえ躊躇していません。この脅迫に屈するNGOがないことを祈るばかりです。

国際社会は、ターリバーン指導者と裏で取引することで彼らを正当化しています。昨年10月、アフガニスタン中央銀行は、「国際社会の人道支援を継続するため」4000万ドルを受け取ったと声明を発しています。

国際社会は、何度も何度も、ターリバーンに蛮行を止めるようにと無力なアピールをすることで満足しています。いま、学校や大学の再開を求める声が大きくなっています。もし再開された場合、今度はターリバーンのイデオロギーの風がすべての教育機関で取り返しのつかないほど吹き荒れることでしょう。

こうした国際的な取引は、ターリバーンの犯罪そのものと同様に、人道的な犯罪です。そして、最終的にはテロリズムやタクフィリ活動(タリバンやアルカイダなどの原理主義グループが、自分たちのイデオロギーに従わないムスリムを殺すために自らに課す権利)、アフガニスタン内外の暴力を正当化することにつながるのです。

人権に関する世界宣言は、アフガンの空間を空虚な空気で満たすだけです。自由と人権をめぐる言説は、「一つ屋根の下、二つの空気」と化しています。皆、同じ屋根の下に住んでいるはずなのに、アフガン人にとっては、劣化した二流の酸素しかありません。

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One thought on “<strong>アフガニスタンは今や真の全体主義軍事国家</strong>”

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