Restrictions on Women: 151 Organizations Ceased Activities in Afghanistan

Amin Kawa By Hasht-E-Subh Daily Last updated Jan 22, 2023
アミン・カワ(ハシュテ・スブ・デイリー、2023年1月22日)

(WAJ: アフガニスタンをふたたび支配するようになって16カ月、ターリバーンは女性隔離政策をいよいよ完全なものにしようとしている。この間、社会のあらゆる領域から女性を排除し、厳しい規制を課した。教育、雇用、マフラム(男性家族)を伴わない長距離移動の禁止などは、単なる一例。多くの女性の権利侵害が、女性たちの言うように、この国を「夢の墓場」と化し、彼女たちの生活を困難なものにしてしまった。 )

【本文】

共和国崩壊前、ターリバーンは女性に対する見方を変えるとほのめかしていた。しかし、彼らは権力を握ると、社会のあらゆる側面から女性を完全に排除し、その権利と自由を否定した。その流れで現在、151のNGOが同国での活動を停止している。そのため報道によると、この3週間、カーブルに対する財政援助がすべて絶たれてしまった。

支配権を取り戻したターリバーンは、社会のあらゆる領域から女性を排除し、厳しい規制を課した。教育、雇用、マフラム(男性家族)を伴わない長距離移動の禁止などは、単なる一例でその他、多くの女性の権利侵害が、女性たちの言うように、この国を「夢の墓場」と化し、彼女たちの生活を困難なものにしてしまった。

12月24日、ターリバーン経済省は、アフガン系・外国系を問わず国内のすべてのNGOに対し、書簡を発送した。それには、「その責任の一部として、経済省は全NGOに対し、追って通知があるまで、それぞれの部門すべてにおいて女性従業員の活動を禁止するよう命令する 」と書かれていた。クワリ・ディン・モハムマド・ハニフ(Qari Din Mohammad Hanif)経済相は、この新法に違反したり、遵守が遅れたりした場合、NGOの活動許可を取り消すと警告した。

国連女性委員会(またはUNウィメン:末尾の注参照)は調査した151の機関のうち最大86%が、この新法によって業務を停止するか削減したと報告している。さらに国連も、ターリバーンの新しい規制がNGOに及ぼす影響を聞き取り調査した。それによると、今回の措置で女性が率いるNGOのほぼ3分の1は活動停止を強いられ、残る3分の1も7割の活動を停止している。

参考記事
https://japannews.yomiuri.co.jp/news-services/ap/20230102-81414/

この3週間、国際社会からの現金支援はアフガニスタンに届いていない。アフガニスタン中央銀行は、2022年12月14日にカーブルで受け取った4000万ドルが最後の現金支援だったと発表している。人道支援の入金があるたびに、民間のアフガン国際銀行(AIB)は受け取った金額を確認するニュースレターを発行することになっていた。しかしながら、この3週間、同行はニュースレターを発行していない。(訳注:2023年1月14日アフガニスタン中央銀行に4000万ドルが到着したことが確認されている。)

参考記事
12月入金 https://global.chinadaily.com.cn/a/202301/15/WS63c3afd6a31057c47eba9ab9.html
1月入金 https://english.news.cn/asiapacific/20230115/b9fe49da25ac44a5b295e5f5e4047462/c.html

アフガニスタン復興信託基金と世界銀行は昨年夏、アフガニスタンに総額7億9300万ドルを寄付すると発表した。

参考サイト
https://www.worldbank.org/en/news/press-release/2022/06/03/afghanistan-reconstruction-trust-fund-approves-three-emergency-projects-for-afghanistan

ところが12月30日(金)、フォーリン・ポリシー誌(訳注:米国のニュース雑誌)は、毎週数千万ドルがアフガニスタンに送られているが、その金はターリバーン当局によって盗まれ、必要としている人々に届いていないとするレポートを発表した。

参考記事
https://foreignpolicy.com/2022/12/30/taliban-western-aid-misogyny-women-rights/

ターリバーンによって禁止されたアフガンおよび外国のNGOで働く女性職員たちは、この決定を非人道的で女性差別的だと憤りをあらわにしている。彼女たちの多くは、将来に不安をおぼえ、今後苦難に直面することを心配している。そのひとりタマナ・アレフ(Tamana Aref)は「私たちは今朝、職を辞することを余儀なくされました。いろいろな困難があっても仕事を続けようと奮闘してきましたが、今、私たちのオフィスの扉は閉ざされました」と語った。そして言い足した、「同僚の中には家族で唯一の稼ぎ手の者もおり、私などより深刻です。彼女たちには子供がいて、夫は失業しています。」

アレフ嬢は、ターリバーン政権下では、女性は家の隅にいて、夫に仕え、自由はなく、家の四方の壁の外の出来事に関しては何も考えないことが求められていると語った。3年半通っていた大学も閉校し、勤めていた事務所も閉鎖され、アフガニスタンに未来はない、と彼女は絶望を語った。さらに、女性には家の隅か台所にいて子供を産むしか選択肢がない、自分は未婚で兄もいないため成績表を受け取りに行くこともできなかった、と語った。

タマナは女性が外で働くことを禁止することは、強制結婚や児童婚につながると主張した。「私たちの同僚やその妹たちの多くが結婚していることに気づきました。若い女性が海外の年配の男性と婚約しているのです。修士号を持ち、夫が失業中のある同僚は、手作りパン屋を開く技量も無いし、どうしたらいいかと私に相談してきました。このところ何だか、人前に出るのが怖いのです。近所の人たちは、ここ1カ月や1週間で、私たちを変な目で見るようになりました。これはターリバーンのせい? それとも世間一般が変わったのでしょうか?  誰が子供に結婚を強いるか考えましょう。 それはターリバーンよりたちの悪い父親です。一般人の物の見方や態度はターリバーンと変わらないのです」と彼女は怒りを込めて語りついだ。

タマナ・アレフは、女性は並々ならぬ努力の末に自らを光へ導いたと信じている。「この20年間、私たちのほとんどは、さまざまな困難にもかかわらず、誰の助けも励ましもなく、なんとか学校に通うことができました。不幸と試練の世界と戦わなければならなかったのです」と熱く語った。「私たちの多くがやっと努力の実を摘み始めたときに、ターリバーンがやって来ました。彼らは徒党を組み、これ幸いと私たちの根っこを断ち切ったのです」と続けた。そして「もし、かつて社会が教育を受けた女性を支援していたら、オフィスや学校、大学での女性の存在は当たり前のものになっていたでしょう。今のような状況にはなっていなかったでしょう」と結んだ。

サフィア・レザイエ(Safia Rezaie)は最近、2つのNGOから解雇された。彼女は外国系NGOで障害者施設の保健部門に勤務していたが、ターリバーンの発表により、雇用契約へのサインを拒否された。また、世界食糧計画(WFP)に協力するNGOでは、正式な職員になるところだったのだが、職務を解かれた。レザイエは、ターリバーンが女性を社会から抹殺すると決めたことが、経済や教育制度に悪影響を及ぼし、社会を暗黒時代へと導いていると考えている。また、その決定によって苦悩と憂鬱を感じ、現在は心理療養士を訪ね、夜眠れるように薬を服用していると述べた。

アフガン系・外国系関わらずNGOにおける女性の就労を禁止したターリバーンの新法は、国内外から強い反発を受け、なかでも国連は「不当な人権侵害」と断じた。

 

国連機関の反応

12月27日(火)、国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、これらの規制は人権侵害であり、不当であり、解除されなければならないとツイートした。また、アフガニスタンの女性と少女を排除し、黙らせようとする試みは、アフガン国民に苦しみと苦痛、そして大きな敗北感を与えていると述べた。

 

国連の全20委員会

国連の全20委員会の理事たちは、女性が不在ではアフガニスタンへの人道支援をすべて停止すると警告した。これらの委員会の多くは、アフガン系・外国系のNGOから女性を排除したことで、アフガニスタンへの援助を一時的に停止したと宣言した。彼らは、女性の援助労働者なしでは人道支援を行うことは不可能であると強調している。

 

国連安全保障理事会

12月27日(火)、国連安全保障理事会は、ターリバーンが女性の大学への進学およびNGOでの就労を禁止したことに関して声明を発表した。特に後者については、アフガニスタンにおける国連を含む人道的活動に「重大かつ直接的な影響」を及ぼすとした。さらに、この禁止令はターリバーンがアフガニスタン国民に約束したことや、国際社会の期待に反するものであるとした。

参考サイト https://press.un.org/en/2022/sc15165.doc.htm

 

国連人口開発委員会

12月26日(月)、国連人口開発委員会は、アフガニスタンにおけるターリバーンの女性教育・雇用禁止は国際人権法に違反するとの声明を発表した。国連人口基金の事務局長であるナタリア・カネムは、今回の規制により、アフガニスタン女性の選択と意思決定の自由が奪われたとの見解を示した。

参考サイト
https://www.unfpa.org/press/taliban-banning-women-higher-education-and-working-humanitarian-organizations

 

国連女性委員会

12月25日(日)、国連女性委員会は、女性の就労を禁止することは人道的原則に反することであり、アフガニスタンの危機をさらに拡大させることになるとツイートした。同委員会は、同国の人口の半分を闇に葬ることは、人道的危機に対処する上で最大の苦痛となると強調した。国連女性委員会のシマ・バホウス事務局長は、アフガニスタン女性の就労禁止を強く非難し、ターリバーンの女性蔑視的な態度が続いていると指摘した。ターリバーンの事件対策担当大臣モハムマド・アッバス(Mohammad Abbas Akhund)との会談に際し、アフガニスタンにおける国連人道支援の副調整官フラン・エクウィザは、女性の労働停止はアフガニスタンに深刻な結果をもたらすと述べた。

 

国連女性委員会のツイート
https://twitter.com/unwomenafghan/status/1606985164944543746

参考サイト
https://www.unwomen.org/en/news-stories/statement/2022/12/statement-the-decree-barring-women-in-afghanistan-from-working-in-non-governmental-organizations-is-yet-another-stark-violation-of-womens-rights#:~:text=In%20barring%20women%20from%20contributing,no%20longer%20receiving%20vital%20assistance.

エクウィザのツイート
https://twitter.com/unamanews/status/1610211310574178304

ターリバーンのスポークスマンであるザビフラー・ムジャヒド(Zabihullah Mujahid)はペルシャ語BBCに女性がNGOで働いてはならない理由を問われ、ターリバーンとはいえNGOまでもはコントロールできず、そこで働く女性を高い危険にさらすからだと語った。つまり、この法律は「女性の尊厳を守る」ためのものだと言い放った。その結果、女性はアフガン系・外国系を問わずすべてのNGOで働くことが禁止され、女性医師や看護師を除いては、日常的な雑用しかできなくなった。さらに、女性は大学、学校、浴場、公園、競技場などに行くことが禁止され、集団生活から完全に排除されることになった。

参考記事
https://www.voanews.com/a/taliban-hold-firm-to-ban-on-afghan-female-aid-workers-/6898315.html

(注)国連女性委員会(またはUNウィメン/UN Women): 女性の地位向上を目的に2011年1月に活動開始した国連の組織。日本外務省は「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントのための国連機関」または「国連女性機関」と訳している。

原文(英語)

Restrictions on Women: 151 Organizations Ceased Activities in Afghanistan

5 thoughts on “<strong>女性に対する規制:アフガニスタンで151団体が活動停止</strong>”
  1. 女性に対する差別・抑圧、蔑視・虐待に焦点が当たっていますが、その陰でターリバーンへのアメリカその他外国からの支援金の送金が続けられています。国内ではテロが止まず、むしろ最近では増えて規模も大きくなる傾向があります。ターリバーンはそのような状況を逆手に取ってテロリストを取り締まるからもっと金をよこせとアメリカに迫って(ゆすって)いるようです。そんな情報も欲しいです。

    1. マリア様がいなければキリスト様も生まれなかったでしょうし、ムハンマド様もハディージャ様がいなければ金欠で討ち死にしてたかもしれませんよね。

  2. […] ターリバーンは現地国連組織やNGO組織で困窮する人びとへの救援活動の主力を担っていたアフガン女性たちの就労を禁止しました。国際社会からの支援金や支援物資はターリバーンのコントロール下におかれています。 今号の「女性に対する規制:アフガニスタンで151団体が活動停止」は、その実態をあきらかにしています。 […]

  3. […] 胸のすく話ではないか。政権奪取後もずっと”プロセスが不透明だったターリバーン指導部の意思決定”に対する内部からの批判である。つまり、この記事によると、”同組織の最高指導者ハイバトゥラー・アクンザダ”による”6年生以上の学校や大学への少女と女性の出入り禁止命令”にハッカーニが噛みついたらしい。 […]

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