Dispute over Water Rights between Taliban and Iran
By Hasht-E Subh On May 17, 2023
ハシュテ・スブ・デイリー 社説
(WAJ: イランの水不足は深刻だ。アフガニスタンも土漠が多い乾燥地帯で水不足の国だと思われている。確かに乾燥地帯が多く農業に困難をきたしているのは事実だが、アフガニスタンには「山に雪が多い年は豊作」という諺があるとおりヒンズークシュ山脈からの水の恵みが豊富である。農業だけでなく社会の維持に水は欠かせない。水の管理はその取得とめぐって住民が対立抗争するだけでなく、国と国との戦争に発展すすることがあるほどの重大事である。)
ここ数日、アフガニスタンに駐在するイラン代表はアフガニスタンからのイランへの水割り当てに不満を表明している。また、イラン・イスラム協議会の一部では、ヘルマンド川からイランに流入する水量を上回る水を消費しているとして、アフガニスタンからの移民への怒りが表明されている! このような議論は新しいものではなく、過去数十年の間、時折沈黙したり、公にされたりしてつづいてきた。この問題は、国際法に関わる法的なもの、両国の外交政策に関わる政治的なもの、それぞれの国の開発プロジェクトに関わる開発上のもの、現在の国家の国境が形成される以前から川が存在し、生態系が川と結びついている環境的なもの、世界的に起こっている気候の変化により法的にも科学的にも新しいアプローチが必要なものなど、さまざまな側面をもっている。
歴史的に見ても、この地域の河川は、度重なる干ばつに悩まされながら、住民の生命線であり、その周りに自然に形成された生態系があった。しかし、農業の機械化、天然資源を利用したエネルギー生産などの進歩により、水資源管理、利水ダムの建設が政府の課題となっている。地域河川の源流であるアフガニスタンは、必然的に近隣諸国の多くと水に関する緊張関係に直面してきた。弱者としてのアフガニスタンは、しばしば不平等な立場から交渉や合意に臨まざるを得ず、永続的な解決に向けた進展が妨げられてきた。
40年以上前に勃発した戦争は、周辺諸国に、ほとんど説明責任を果たさないままアフガニスタンからの越境水域を利用する絶好の機会を与えた。
アフガニスタンの危機を解決し、安定した政府を樹立することに近隣諸国が消極的なのは、水問題が一因となっている。イランが最近ターリバーンを支援し、その台頭を促したのは、アフガニスタンの合法的で国民に根ざした政府の樹立を阻止するためでもある。ある年のヘルマンドの水量が減ったというイランの訴えはもっともだが、気候変動や降雨量の減少は、アフガニスタンがその代償を負わなければならない罪ではない。
イランは天然資源を有効に活用できていないため、ヘルマンド川をはじめとするアフガニスタンの河川から流入する水をはじめ、多くの水を無駄にしている。特にシスタン地方では、これらの水を専門的でない方法で使用し、浪費していることが複数の報告で示されている。
ターリバーンの非合法な政権と結ばれた合意は法的効力を欠き、将来的に緊張を高めることになりかねない。ターリバーンとの現在の争いは、このグループに対するイランのアプローチの変化を意味するものではなく、ターリバーンに対するイランの基本的な政策に影響を与えることはないだろう。したがって、(ターリバーンに対するイランの政策に変化が生じるかもしれないというような)新たな期待を抱くことはまったくできない。
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人々の暮らしに関係する良い記事ですね。政治やジェンダーの記事は、書き手の感情として悲観しか感じない。こんな風に、今の実務的な動きを話題にしていくと、良識ある人には伝わると思います。