ターリバーンのカーブル復権2周年の8月15日を目指して、フランスと日本で、連帯の詩を集めた詩集が、発行されます。

 

 

書籍の仮のタイトルや目次案もでき、現在、作品を寄せた作者の方がたや国際編集部内で校正段階にこぎつけました。

以上の動きは、『ウエッブ・アフガン』で逐次報道してきたのですが、アフガニスタンでのターリバーンによる芸術への弾圧に反対する運動は世界で予想を超えて前進しています。勝利への一里塚だと言えます。

 

地道な編集作業の積み重ね

一昨年のターリバーンによるカーブル乗っ取りの後、海外への非難を余儀なくされたヘラートの女性活動家で詩人のソマイア・ラミシュさんの呼びかけにこたえ、世界中の詩人が連帯の詩をつくり支援の輪に加わりました。
アムステルダムに本拠を置く「亡命詩の家(Baamdaad – House of Poetry-in-Exile)」は投稿された詩の一部やヨーロッパでの連帯活動の現状が報告されています。

日本では、『ウエッブ・アフガン』を通してソマイアさんの呼びかけを知った旭川の詩人・柴田望さん(詩誌「フラジャイル」主宰)らがさらに日本の詩人に呼びかけ、35人以上の賛同者が連帯の詩をつくり、Baamdaadに送りました。

これまでの動きは下記にてご覧いただけます。

フランスと日本で書籍発行活動が同時進行!
言葉の繫がりの波立ち

この戦いの背後にあるのは、ターリバーンの次のような政策です。本サイトの「トピックス」欄でご覧いただけます。

●2023年3月13日 <ハシュテ・スブ・デイリー>
ターリバーンの文部大臣、言葉や文章で社会を混乱させるものは死刑、と明言

●2023年5月2日 <ハシュテ・スブ・デイリー>
ターリバーン元報道官、海外でタリバン反対派へのナイフ攻撃を呼びかける

日本では1991年に「悪魔の詩」の日本語訳を出版した五十嵐一氏が筑波大学キャンパス内で殺害されるという痛ましい事件がありました。イギリス系インド人作家サルマン・ラシュディの「悪魔の詩」がイスラームを冒瀆するものとして役者も含め死刑にすべしと宣告したイランのホメイニ師の要求にこたえる暴挙でした。同じことをターリバーンは行おうとしているのです。しかもその殺人の方法はナイフによる刺殺でもかのうである、海外にいる詩人をも殺せ、と命令しているのです。

このような蛮行を許すわけにはいきません。そのような蛮行は単にアフガニスタン人だけに向けられたものでなく、人類の知的活動、生存権に対する野蛮な攻撃だからです。

勇気をもってターリバーンの蛮行に抗う活動は、地道な日常的な活動の積み重ねです。世界中から100人以上の詩人が連帯の詩をつくってBaamdaadに送りました。それらの詩人たちは、アフガニスタンであるいは亡命地で呻吟する人々の日常を、自分の置かれている国や社会の状況と照らし合わせながら想像し、芸術的な創造力を働かして言葉をつむぎました。フランス語や英語やペルシャ語や日本語でそのような珠玉のような言葉を私たちはもうすぐ目にすることができます。

ここに1通のメールがあります。
危険を顧みず、オランダ・アムステルダムと北海道旭川を事務局とする日本語版製作の実務作業の舞台裏を垣間見せる最新のメールのやり取りです。柴田望さんからソマイア・ラミシュさんへの打ち合わせの事務メールです。(原文は英語)

歴史はこのような地味で実務的な作業の積み重ねによってつくられます。そしてそのような活動は必ずやターリバーンの蛮行を孤立させ、撤回を余儀なくされると信じます。

=====柴田氏から=====

ソマイア様

あなたの精力的な活動にこころからの尊敬の念をこめて。

お待たせしてしまって申し訳ありません。
日本で出版する詩集のデータがほぼ完成しました。
PDFファイルとWordファイルを添付します。どうぞご覧ください。

ファイルについて説明します。

(1) 今のところ日本語版書籍は140ページ程度になる予定です。

(2) 日本の有名な詩人も参加しています。出版されれば、必ずや注目されることでしょう。

(3) 日本語版に序文を書いてください。あなたの序文を待って完成となります。原稿の到着を心待ちにしています。

(4)Baamdaadに英語で投稿し投稿詩の日本語版をこちらへ送ってきていない日本の詩人は、あと2人です。到着を少し待ちます。

(5)この本のタイトルを現在考慮中です。私たちの仮のタイトル案は次の通りです。あなたはどう思いますか?

どんな牢獄も詩を閉じ込めることはできない
(英文:No jail can confine your poem)

これはあなたの呼びかけに賛同して詩で応えたフランスの詩人セシル オウマハニさん(Cécile mhani)の詩の一節です。
セシル オウマハニさんの詩はとても素晴らしいです。

日本語版は、ターリバーンがカーブルに舞い戻った8月15日に出版できるよう急いでいます。

お返事お待ちしております。
最優先でこの仕事に取り組みます。
お喜びいただけると幸いです。

世界に平和が訪れますように。

感謝の気持ちを込めて

日本
柴田 望

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発売予定は8月15日です。
詳細が決まったら、『ウエッブ・アフガン』では大々的に宣伝し普及に努めます。

皆さんも期待してお待ちください。
詩による戦いを日本中に、そして世界中で繰り広げ、アフガニスタンを自由でクリエイティブで人間らしい生活ができる国にしようとする人びとの闘いを支援しましょう。

【野口壽一】

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