ターリバーンにTTPへの支援を止める兆しなし

Afghan Taliban ‘unlikely to stop support for TTP’

Anwar Iqbal Published February 16, 2023
DAWN アンワル・イクバル February 16, 2023年2月16日

 

WAJ: パキスタンサイドのアナリストは、アフガンターリバーン内部の対応に若干の差異があったとしてもイデオロギー的同一性のゆえにアフガンターリバーンによるパキスタンターリバーンへの支持・支援は変わらないとみている。今後の両国関係および広く周辺地域の情勢を見ていくうえで重要な視点が述べられている。この記事は、アフガンの声「良いテロリストか悪いテロリストか:パキスタン政治家への疑問」、世界の声「カーブルのTTPに対する不作為は、パキスタンによる指示の不統一」と合わせてお読みいただきたい。

 

ワシントン発:米国の有力シンクタンクの最新レポートによれば、アフガニスタンを支配しているターリバーンがパキスタンの過激派であるパキスタン・ターリバーン(Tehreek-i-Taliban Pakistan/TTP)への支援を打ち切る可能性は低い、なぜならイスラマバードは敵対しているTTPに対する大規模な作戦を経済的な問題から開始できないとアフガン・ターリバーンが見ているからだ。

「パキスタンの経済危機とアフガニスタンにおけるターリバーンの支配の中で、パキスタンのターリバーンはますます強力な脅威として再浮上している」と、米国平和研究所(USIP)は火曜日(2月14日)にワシントンで発表したレポートで警告を発している。

参考サイト:
https://www.usip.org/publications/2023/02/pakistan-poised-take-ttp

レポートは、イスラマバードの政策に対するカーブルの最近の批判(訳注:1月30日、ペシャワールで101人死亡の自爆テロが起きたが、その2日後、ターリバーンのアミール・カーン・ムッタキ外相代行は声明を出し、パキスタンが「後ろ指をさし、敵意を煽っている」と非難した)に言及し、「この非外交的な修辞法は、パキスタンからの圧力が強まる中でもTTPを支援し続けるというターリバーンの決意を強調している」と論じている。

TTPへの支援を非難されたターリバーンだが、その反応は「非難を浴びせ返すだけで、すぐさま支援を止めることを何らほのめかさない」と米国平和研究所は論じた。

米国平和研究所のレポートでは、パキスタンが経済悪化によってテロリストに対する行動力を制限されることを懸念している。

このように修辞されるいくつかの兆候は、国連職員や他のオブザーバーからの、アフガニスタンの都市でTTPが自由に移動し、ビジネスを行っているといううわさ話的な報告(訳注:米国平和研究所のレポートにも引用されている)とも一致している。

カンダハールにつながる情報提供者によれば、ターリバーン首長とその側近は「イデオロギー的な根拠から、TTPへの支持を放棄することはまずない」と米国平和研究所のレポートは述べている。

同レポートによると、パキスタンの反応を形成するもうひとつの鍵となる要素は、デフォルトの危機に瀕している同国の経済悪化であるという。「そのため、パキスタンの軍事的な選択肢は限られている。パキスタンは国内でならテロリストを襲撃し、防衛行動をとれるが、持続的な高強度作戦のための資源を持っていない」と米国平和研究所は警告している。

2022年4月以来の「越境空爆の考えを再度ちらつかせた」パキスタンは、「軍事行動を求める圧力の高まり」に直面したが、一歩踏み出す様子はないとレポートは推測している。

レポートによると、この圧力はパキスタンの一部の政治グループがもたらしたもので、彼らは「テロリズムの復活を、イムラン・カーン前首相の政権復帰を阻止し、アメリカの援助を得るための軍の陰謀だと故なく非難し」紛争を煽っている。(訳注:失脚後、イムラン・カーンと軍部の関係は冷め切ったが、彼を支持する国民は依然として多い。昨年11月、政権復帰を目指すデモ活動中に狙撃され負傷、危うく暗殺される所だった。)

しかし、経済的な圧力によって、そして紛争がその場でエスカレートすることを恐れて、ターリバーンの兵士がTTPに加わるという噂は中でも特に響いて、「パキスタンではこのような国境を越えた作戦には懐疑的だ」とレポートは論じている。

TTPによる暴力の止まることなき増大は、「TTPを政治的・物質的に強く育てる機能を持ち、政治的結束、訓練された戦闘員および自爆テロ隊のさらなる精鋭化、武器や装備の充実に反映される」と、報告書は付け加えている。

「アフガン・ターリバーンは依然としてTTPを強く支持しており、TTP集団に寛容で安全な避難場所を提供している」とレポートは主張した。TTPがアフガニスタンでも多くの民衆の支持を受けており、「パキスタンに対する熱烈な嫌悪感からターリバーン・非ターリバーン関わらず、アフガン民衆の多くはTTPを応援している」と指摘した。

米国平和研究所は、ターリバーンの戦闘員の中にもTTPに参加する者がおり、パキスタン国内で攻撃を行った最近の自爆犯の中にもアフガン人がいると報告した。

レポートはまた、一握りのターリバーン指導者、特にターリバーン内相のシラジュッディン・ハッカーニ(Sirajuddin Haqqani)が、パキスタンの要求に応じてTTPを抑制することがあったと指摘している。「しかし、ターリバーン内の意見は、TTPとそのキャンペーンへの強い支持に傾いている。特に、ターリバーンのアミール(訳注:宗教指導者)であるハイバトゥラ・アクンザーダ(Hibatullah Akhundzada)は、パキスタンの統治体制は非イスラームであるというTTPに同意している」と、レポートは結論付けている。

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